August 19, 2003

日替わりコラム

掲載媒体:NIKKEI NET

 先週、日本ではお盆休みでくつろいだ時間を過ごした人が多かったが、米国とカナダの北東部都市では14日に大規模な停電に見舞われ、インターネットや携帯電話など通信ネットワークに甚大な被害が及んだ。15日には復旧したものの、その間にAOLの利用者は50万人の落ち込みを見せたという。不振に苦しむAOLだが、AOLタイムワーナーは社名から「AOL」を外すことを検討している。そうなれば、ネットバブルの象徴だったティッカーシンボル[AOL]も消えることになりそうだ。ほかには、スタンフォード大学から登場した、第2のGoogleを目指す新興企業、カルティクス社の記事を取り上げた。(長野弘子/ITジャーナリスト)

■米北東部大停電、ネットや携帯に多大な影響(8/15 internet.com)
 14日午後、ニューヨークやトロントなど北東部主要都市を襲った大停電は、ISPや移動体通信サービス事業者の多くに被害を与えた。停電が起きた直後、AOLの利用者は240万人から210万人に落ち込み、15日午前11時には190万人にまで急減した。トラフィックの低下はおもにニューヨークが中心で、他の地域では情報を求めてインターネットに殺到し、CNNなどのニュースサイトのトラフィックは激増した。全体的に見るとインターネットの基幹システムは順調に機能していたが、非常用電源を準備していなかったため機能していない箇所もいくつかあったという。基地局が機能停止した移動体通信サービス事業者もあり、シンギュラー・ワイヤレスでは15日午前の段階でまだ700の基地局が復旧していなかった。バライゾン・ワイヤレスもニューヨーク、デトロイト、クリーブランドの一部地域で復旧作業に手間取っており、今後の対策として、緊急連絡用の回線や非常用電源の常時確保が求められるだろう。

■AOLタイムワーナー、社名からAOL削除?(8/12 ウォール・ストリート・ジャーナル)
 合併して2年半になるAOLタイムワーナー社が、社名から「AOL」の文字を取り除くことを検討している。巨大メディア企業の誕生として合併当時は大きく期待されたものの、その後はAOL部門の不振やトップ交代劇などで業績は大幅に悪化、株価は急落した。さらに、同社の水増し会計疑惑が取りざたされ、政府による調査も行われている。同社は負債を減らすために資産売却に着手しており、AOLを分社化する可能性もあるとの憶測も流れていた。また、決定的な理由として、AOLブランドに対するユーザーの印象が合併以来、悪くなっているという調査結果が出たことがあげられる。9月後半に開かれる同社の取締役会で承認を得ることができれば、社名が変更される可能性が高い。社名変更に関して、社内でもAOLのイメージを消すことはプラスになると考えている人が多く、ウォール街の反応も前向きだ。ネットバブルの象徴だったティッカーシンボル[AOL]が消滅する日も近いかもしれない。

■第2のGoogleを目指す新興企業、登場(8/12 ZDNet)
 Googleの検索アルゴリズムより優れた検索エンジンを開発する試みがなされているが、数カ月前に創設された新興企業、カルティクス社(Kaltix)もその1つだ。Googleでは、「多くのページからリンクされているページは重要である」というユーザー同士の関係性をもとにページ重要度を自動判別する独自のアルゴリズム「ページランク」(PageRank)を使っているが、カルティクスではそのページランク計算の速度を加速させる研究を行っている。さらに、ページランクはユーザーの総意をもとにしているが、それ以外に個々のユーザーの関心をもとに検索結果を割り出す技術も開発している。パーソナライズ機能はこれまで成功した例があまりないが、今後、有料検索サービスが増えるにつれ、クリック率を上げるために重要になる分野だと期待されている。Googleもまた、パターン認識やデータマイニング技術、自然言語意味解析を検索結果に反映させる新興企業、アウトライド(Outride)を2年前に買収してこの分野に注力している。ユーザーにとって便利なパーソナライズ機能を組み込んだ検索エンジンが登場することを期待したい。

Posted by hiroko at August 19, 2003 12:31 AM
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