July 30, 2003

日替わりコラム

掲載媒体:NIKKEI NET

 先週は、米IT企業の4ー6月期決算が相次いで発表された。イーベイやアマゾン、AOLタイムワーナーはおおむね好調な結果となったが、サンマイクロシステムズやハンドスプリングは売り上げ高が大きく落ち込む結果となった。また、携帯電話OS市場の地図を塗り替えることを目指すマイクロソフトが、モトローラに同社の携帯電話OS『スマートフォン』を提供することを発表した。そのほか、ファイル交換ユーザーの数千人に対して訴訟を起こすというレコード業界の方針が、新世代のP2Pツールに投げかける波紋について取り上げた。(長野弘子/ITジャーナリスト)

■IT各社の4ー6月期決算、イーベイが好調(7/24 ウォールストリートジャーナル紙)
 米イーベイは7月24日、好調な4ー6月期決算を発表した。売り上げ高は前年同期比91%増の5億930万ドル、純利益は同102%増の1億970万ドルとなった。同社は2002年7月にネット決済会社のペイパルを買収しており、ネット賭博会社へ決済サービスを提供したことで『米国パトリオット法』違反に問われていたが、決算発表の際に和解したことを発表。ペイパルは2002年11月に賭博サイト向けサービスから撤退している。
 オンライン小売大手の米アマゾンが22日に発表した決算では、売り上げ高は前年同期から37%増の11億ドル、純損失は前年同期の9400万ドルから4300万ドルへと減少した。6月に新刊の『ハリー・ポッター』シリーズ第4作が約140万冊の販売部数を達成したことが売り上げに大きく貢献した。また、前年同期に全体の14%だった第三者による商品販売が、今期は20%に拡大したという。
 米AOLタイムワーナーが23日に発表した決算では、売り上げ高が前年同期の6%増の108億ドル、純利益が前年同期の3億9400万ドルから11億ドルに拡大した。好調だった映画事業が売り上げをけん引したが、AOL部門ではいぜん加入者と広告売り上げの減少が続いている。そのほか、米サンマイクロシステムズの売り上げ高は前年同期から13%減の29億8200万ドル、純利益も前年同期の6100万ドルから1200万ドルへと減少した。6月に米パームが買収すると発表した米ハンドスプリングもまた、売り上げ高は前年同期から70%減の1450万ドル、純損失は1300万ドルとなり、各社ともに明暗が分かれる結果となった。

■モトローラ、MSの『スマートフォン』を採用(7/24 ロイター)
 米モトローラがマイクロソフトの携帯電話用OS『スマートフォン』を採用し、年内にも製品化することを、業界筋が明らかにした。スマートフォンはWindowsベースのOSであり、マイクロソフトが年間4億5000万台の携帯市場に進出するための重要な足がかりとなる。これまで携帯電話市場ではマイクロソフトにとって厳しい状況がつづいており、業界3位の韓国サムソン電子がスマートフォン搭載の電話を発売する計画を取り下げたほか、ドイツテレコムの携帯部門であるTモバイルもまたスマートフォン搭載の携帯電話の発売を延期することを発表した。フィンランドのノキア、モトローラを含む携帯電話メーカーの大手5社は、携帯電話OSを開発する英シンビアンに共同出資しており、マイクロソフトが携帯OS市場でも独占状態になるのを牽制している。こうした状況のなか、今回のモトローラのスマートフォン導入は、マイクロソフトの携帯電話OS市場への進出に向けた大きな一歩となるだろう。

■新世代の高速P2Pソフトが挫折?(7/24 ZDNet)
 映画など大容量ファイルの転送速度を向上させる新世代のファイル交換ツール「ビットトレント」(BitTorrent)は急速に人気を集めていたが、7月に入り同ツールのハブサイトがいくつか閉鎖された。その理由は、著作権侵害訴訟に対する懸念が大きいとされている。全米レコード協会(RIAA)は6月25日、ファイル交換ユーザーの数千人に対して訴訟を起こすと宣言しており、P2Pユーザー間で不安が広がっている。RIAAはまた、マサチューセッツ工科大学やボストン・カレッジなどの大学に対して、P2Pツールを利用している学生の住所氏名を提出するよう召喚状を送った。両大学は7月21日、裁判所に召喚状を無効にするよう申し立てている。RIAAの個人攻撃が波紋を呼び、人気P2Pソフトのカザーやモーフィアスのユーザー数は2週間で15%も減少している。今後は、ダウンロードに時間はかかるが匿名性を守るP2Pソフトへとユーザーが流れそうだ。

Posted by hiroko at July 30, 2003 12:33 AM
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