June 17, 2003

日替わりコラム

掲載媒体:NIKKEI NET

 先週は、前米大統領夫人のヒラリー・クリントン上院議員の回顧録『リビング・ヒストリー』が全米で発売され、大きな話題となった。サイン会に参加するために徹夜する人々が現れるほどの人気ぶりとなったが、ITセクターでも、テクノロジー企業として今年初めて米国市場で新規株式公開(IPO)を果たしたフォームファクター [FORM] に投資家が殺到した。厳しい市況はいぜん続いているが、オンライン小売り市場の拡大など明るい材料も報告されている。その他、マイクロソフトによるRFIDタグの標準開発、MP3ファイル再生機器の売り上げ予測、米国国防総省によるIPv6への移行といったニュースを取り上げた。(長野弘子/ITジャーナリスト)

■テクノロジー企業のIPO、好調(6/13 Mercury News)
 半導体チップのテスト企業であるフォームファクター(FormFactor)は6月12日、米国株式市場で、テクノロジー企業として今年初めての新規株式公開(IPO)を行った。6月に入りナスダック市場が1年ぶりの高水準に達し、市場が底を打ったという期待感もあり初日の取り引きで同社株は26%上昇し、17.58ドルで終了した。ITバブル崩壊後、米国市場は低迷を続けており、今年のIPO数は5件にとどまっている。ベンチャーキャピタルによる未公開企業への投資額も2001年の377億ドルから2002年には203億ドルへと減少しており、厳しい状況はいぜん続いているが、IT技術者のレイオフへの歯止め、オンライン小売り市場の拡大など明るい材料も報告されており、市場回復への期待感が高まっている。

■マイクロソフト、RFIDタグを標準開発へ(6/11 ZDNet)
 マイクロソフトは6月10日、ICタグ技術標準化団体の「オートIDセンター」に参加し、媒体に電波を用いた認証システム『RFID』の標準開発に取り組むことを発表した。マサチューセッツ工科大学(MIT)や米統一コード委員会が設立したオートIDセンターには、キヤノンや三井物産を含め約80社が参加している。RFIDは、値札やタグとして商品につけると離れた場所から一括して商品管理ができるため、バーコードに替わる将来的なサプライチェーン管理技術として注目されている。すでに、世界最大の小売店ウォールマートや、アパレル企業のGAPなどが導入を進めている。ただし、まだ標準が定まっておらず、コストの問題、さらには消費者によるプライバシー侵害への懸念など解決すべき課題も多い。日立製作所やNECなどの日本企業が中心となった標準化団体「ユビキタスIDセンター」も設立されており、今後は、標準化への主導権を争う競争が激しくなりそうだ。

■MP3ファイル再生機器、順調な伸び(6/12 IDC)
 調査会社のIDCが6月12日に発表した調査によると、MP3ファイルを再生できるデジタル音楽プレイヤーの世界市場は今後も順調に伸びると予測される。同社によると、世界市場は2007年まで年率30%で拡大を続け、売り上げ高は440億ドル規模に達する。デバイスの種類は、シンプルな小型MP3プレイヤーだけではなく、DVD再生機能やゲーム機を組み込んだデバイスや、PVR(パーソナルビデオレコーダー)への対応など多様なデバイスが登場する。とくに、MP3対応カーステレオの出荷台数は、2002年の310万台から2007年には1460万台にまで増加すると見込まれており、これらの融合型デバイスが2007年には全体売り上げ高の3分の2に相当する280億ドル以上を占めると予測される。

■米国国防総省、IPv6への移行を決定(6/13 internet.com)
 米軍の作戦行動や戦闘にインターネットをさらに活用する目的で、米国国防総省(DoD)はIPv6への移行を本格化することを発表した。DoDによると、30年間にわたって利用してきたIPv4に比べて、IPv6は利用可能なアドレス数が多く、ルーティングやネットワークの自動設定といった機能も改良されており、兵器・兵士やセンサーなど重要な構成要素を統合することが可能になるという。具体的には、今年10月以降にDoDが購入するネットワーク関連製品はすべてIPv6対応とし、DoD内で利用されている既存のIPv6デバイスとの相互運用性を確保することが決定されている。なかなか普及が進まないIPv6だが、DoDの今回の決定により、IPv6の普及への一歩となるのかどうか注目したい。

Posted by hiroko at June 17, 2003 12:51 AM
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