かっこ良すぎる。何が一番心に残ったかというと、彼の感性だ。基本的にはストレイドアヘッドのジャズが中心だったが、感覚はヒップホップに通じるものがあって、非常に新鮮だった。た。それでいて、大人の音。彼の個性がそのまま音楽になっているのだと実感した。
たとえば、コルトレーンの曲をやるにしても、シーツオブサウンドも完璧にやって、それでも彼自身なのだ。それはコルトレーンの真似じゃなくて、KENNY GARRETの音。沈黙の使い方なども、別にマイルスを意識しているわけじゃなくて、彼の性格から自然と湧き出てきたものだろう。また、コマーシャルな音の使い方もよく心得ていて、チープにしか聴こえない音も彼がやるとクールになる。自分の音をどれだけ追究しているかがよく分かる。
彼の音を聴いた時、今まで引っかかっていたものが一瞬すべて解けたような気がした。音楽を聴いて楽しむのは、理屈じゃない。ジャズのフォームやテクスチャー、いろんなスタイルを勉強していてもいなくても、いいものはいいと分かる。どう聴くのかではなく、どう感じるかなのだ。(1996年8月21日)