September 01, 2003

'Stay Human'

Michael Franti & Spearhead

 4年ぶりに出たこの新作は、今までの作品の中では最高の出来だと言える。音作りが今までとは異なり、70年代のソウル/R&Bをベースにした音が作品全体に溢れていて、ヒップホップのアルバムといったジャンルに留まらない。

 92年に実験的なヒップホップ・グループ、ディスポーザブル・ヒーローズ・オヴ・ヒプホプリシーとして衝撃的なデビューを果たしたマイケルは、当時から政治的なメッセージを強く打ち出してきたが、今回も人種差別、憎悪、貧困といった米国の繁栄の影に潜む歪みを容赦なく曝け出している。

 このアルバムは、海賊ラジオ局からの放送という設定で、冤罪で死刑に処された一人の黒人女性を中心にストーリーが展開されていく。モデルになっているのは、冤罪で現在もペンシルヴァニア州の死刑囚監房に投獄されている黒人ジャーナリスト、ムミア・アブ・ジャマールだ。

 マイケルは米紙で商業主義がメッセージの形骸化を招いていると批判、70年代のアーティストは酷い現実を美しい音とともに表現していたと語っているが、彼はルーツへ戻ることで再びライムに魂を吹き込もうと試みているかのようだ。

 個人的には(3)、(5)が好きだが、マーヴィン・ゲイのように自分の心を吐露する(13)、オージェイズを彷佛とさせる(14)などは彼のルーツが色濃く出ている。ザップママのマリー・ドルヌも参加している(20)も必聴だ。

『ミュージックマガジン』(2001年7月号)
文:長野弘子

Posted by hiroko at September 1, 2003 10:57 PM | TrackBack
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