イースト・ビレッジのアルファベット通りにあるUNIVERSITY OF STREETは、NUYORICAN POETS CAFEと並ぶ二大ポエトリー・リーディング・カフェだ。今夜はそこで、三人のジャズ・シンガーのパフォーマンスがあった。
毎週金曜と土曜の夜中からはジャム・セッションも行われ、いつも詩人達で溢れるこのカフェは、その夜は小さな小劇場になった。観客もそのほとんどがパフォーマーの友人や家族で、パンクスやありとあらゆるカウンターカルチャーに侵された若者達がうろつく場所には似つかわしくない、暖かい雰囲気がそこにはあった。シンガーは三人ともジャズ・ピアニストのBARRY HARRISのボイス・トレーニングを受け、ここニューヨークの地元で頑張っている。
最初のシンガーBARBARA BONHOMMEは、私の友人のお母さんだ。お母さんといっても42歳とは思えない美しさで、歌も味わい深かった。楽しんで歌っている感じだった。
次のシンガー、BENITA CHARLESはまだ若い。BARBARAに言わせると、彼女はBARBARAの娘のような存在だ。R&Bの洗礼を受けた彼女の声はフラット・ノートで、ジャズ特有の半音の上がり下がりや高低はなかった。しかし、彼女の歌うセクシー・ブルースはなぜか魅力的で、MARY J. BRIDGEがジャズをやっているという感覚だ。通常の12小節のブルースではなく、1小節目のしゃべりの部分をうんと引き延ばしていて、かっこよかった。ヒップホップを感じた。
最後のシンガーKAREN MURREYは、最初にボサノバのLOTS OF STARSを歌った。ELLAのような声質で、少しBILLYっぽい不安定さを持った歌い方は壊れそうで美しかった。
ショーが終わると若手のミュージシャンや詩人、また画家なども入り交じり思い思いの会話を楽しんでいた。壁に飾ってある絵を描いたDIANNA GITESHAは、歌も歌う。会場に来ていたソプラノサックスのSMITTY SMITHはGITESHAと一緒に今度ギグをやるという。
また、観客の一人はベース・プレイヤーだが、今は生活のためにプレイするのを諦めたという。(1996年10月27日)
*追記:Barbaraは現在、Sweet Basilなどでギグをやり、Barry HarrisのCDにも参加している。
(99/02/06)