August 23, 2002

晴れた日はオープンカフェでおしゃべり

「ラテ・スタンド」まで登場

文:長野弘子
(熊日新聞 第17回連載/2000年8月掲載)

 初夏のシアトルは緑が目に沁みるように美しく、住み慣れたニューヨークと比べてアラ探しばかりしていた私もようやく「シアトルも結構いい所かしら」と思えるようになってきた。晴れた日はみな一斉に外に出て、オープンカフェでコーヒーを飲みながらおしゃべりする。ニューヨークよりも時間がゆったりと流れていく。ワシントン湖沿いのカフェで、太陽の光を反射してキラキラ輝く湖畔を眺めながら時間を過ごすのも悪くない。

 以前から毎朝コーヒーを飲むのが日課だったが、ここシアトルに来てから一層その傾向が強まった。何と言ってもシアトルはコーヒーの本場。スターバックスコーヒー、タリーズ、シアトルズベストコーヒーなどのコーヒーショップも皆、シアトルが発祥地だ。特に米国最大手のコーヒーショップ、スターバックスの本店は、新鮮なシーフードや野菜を売っている大きな市場「パイク・プレイス・マーケット」に位置し、観光名所の一つとなっている。


パイク・プレイス・マーケットにあるスターバックスコーヒーの本店。ここでしか見ることのできない茶色のオリジナルシンボルでは、セイレンの胸が隠されていない。1987年に現在の黒と緑のロゴに変更された。

 地元で有名な日系の建築家ジョージ・スヤマ氏のデザインによる、イタリアのエスプレッソバーをイメージした焦げ茶で統一されたシックな内装とともに、ギリシャ神話に登場するセイレン(人魚)をイメージした黒と緑のお馴染みのロゴとは微妙に異なる、茶色のオリジナルロゴが見られる。名前は、メルビスの小説『白鯨』に登場するコーヒー好きの一等航海士「スターバックス」に由来している。


 「シアトルがコーヒーで特に有名なのはなぜ?」と地元の人に尋ねると、「いつも雨ばかり降っているから目を覚ますためにいいコーヒーが必要なのさ」という答えがよく返ってくる。

 なにしろ昨年は96日間ぶっ続けで雨が降ったというくらい、雨がよく降るのだ。マイクロソフトを中心とした一連のハイテク企業の急成長のおかげでシアトルの人口増加は著しく、隣接するカリフォルニア州からも膨大な数のハイテク労働者が移住しているが、彼らが一番嫌うのがこの雨なのだ。梅雨で鍛えられているはずの日本人の私でさえ「また雨?」と悲鳴を上げるほどだから、燦々と降り注ぐ太陽の州からやって来た人々にとっては耐え難いものがあるのだろう。


 雨ばかりではなく、シアトルは歴史的にみて米国有数の港であり、大量のコーヒー豆を輸入していることもコーヒー文化が根付く土壌になっているのだろう。ここには「ラテ・スタンド」と言われるコーヒーのドライブスルーまでが存在するのだから驚きだ。コーヒーがいかに人々の生活に浸透しているかを伺わせてくれる。

 ちなみに私の家の前に住んでいる女性もラテ・スタンドを経営しており、マシュマロやホワイトチョコなどの甘いシロップにホイップクリームたっぷりのラテを作ってくれる。

Posted by hiroko at August 23, 2002 02:48 PM | TrackBack
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