○ニュース&レビュー海外編
(NIKKEI NET ITニュースメール 5/11/2004掲載)
先週、日本ではゴールデンウイークの連休を利用し、多くの人が海外旅行やアウトドアを楽しんだと思うが、米国では新規株式公開(IPO)を申請したグーグル関連の記事が多くのメディアサイトやブログで話題になった。ウォール街の常識を打ち破るオークション形式のIPOだけではなく、これまで謎に包まれていた同社の売上高や利益、事業戦略が明らかにされ、注目が集まっている。その他のニュースとして、猛威をふるうワームに対するマイクロソフトの思い切った戦略、デビューから1年を迎えたアップルコンピュータの「iTunesミュージックストア」に関するニュースを取り上げた。(長野弘子/ITジャーナリスト)
■IPO申請で明らかになるグーグルの売り上げ(5/3 CNET)
グーグルのIPO申請により、これまで知ることのできなかった同社の売上高や事業戦略が明らかになった。4月29日に米証券取引所へ提出されたIPO申請書類によると、同社の売上高は3月31日締めの四半期で3億8960万ドル、純利益は6400万ドル、資金は4億5490万ドルに達している。また、競合企業としてはマイクロソフトとヤフーを挙げており、両社との競争のためにさらに多くの社員を雇うことが必要だとしている。さらに、ネット広告サイトやウェブ検索企業のいくつかも競合企業とみなしている。今後は競争の激化や「アドワーズ」のようなキーワード広告市場の飽和にともない、利益率が圧迫されるとの予想。
申請書類によると、2003年度の売上高の約95%は広告によるものであり、収益モデルが多様化したヤフーや資金源のあるマイクロソフトのMSNと比べるとリスクが高いことがうかがえる。さらに、同社の検索結果をランクづけする技術「ページランク」は、2011年には特許が切れる予定であり、検索技術に関しても懸念材料が存在することが明らかになった。
■MS、海賊版OSにもパッチ提供に踏み切る(5/9 ComputerTimes)
マイクロソフトは、同社のOS『ウィンドウズXP』の正規ユーザーだけではなく、海賊版ユーザーに対しても同社のセキュリティーパッチ「サービスパック2」を無料配布することを決定した。売上の問題よりもセキュリティー問題のほうが重要であり、海賊版OSを使っているユーザーに対しても安全性を確保する必要があるためと同社は説明している。
この背景には、ウイルスやワームの被害が一層深刻になりつつあるという状況がある。今年だけでも「マイドゥーム」「ネットスカイ」「ベーグル」などが猛威をふるい、最近では「サッサー」が数百万台のPCに損害を与えている。これ以上ウイルスやワームが蔓延するようになれば、ウィンドウズ自体が敬遠され、結果的には売り上げの減少にも結びつくだろう。
海賊版ユーザーへのパッチ配布は、こうした事情による苦渋の選択とも言えるが、ほかのOSでも同様のパッチを配布するのか、また海賊版OSに対してもアップグレード版を配布するのかといった決断を、今後は迫られることになるだろう。
■アップル音楽ストア、販売記録達成(5/5 MacNewsWorld)
アップルコンピュータは5月5日、第3世代の「iTunesミュージックストア」について、4月28日−5月4日までの1週間で330万曲を販売し、過去最高の週間販売数を達成したと発表した。同ストアは開設1周年を迎えた4月28日に、音楽ファイル管理ソフト「iTunes」を4.5にバージョンアップした。新機能としては、70万曲以上の楽曲が提供されるほか、ユーザーの楽曲プレイリストを同ストアで公開し、ほかのiTunesユーザーと共有できるサービス「iMix」などが追加されている。誰がどんな音楽を聴いているのかが分かり、好みの合うユーザーを見つけることができるiMixにより、コミュニティーを強化するのも狙いだ。
オンライン音楽サービス市場では、ナップスターのほか、ソニーも50万曲をそろえた「ソニーコネクト」(http://www.connect.com/)を開設しているが、アップルはこの1年で7000万曲以上の楽曲を販売しており、世界で70%を超す市場シェアを確保している。iTunesミュージックストアの一人勝ちに対抗できるサービスの登場と、日本での同ストアの開設を期待したい。
Posted by hiroko at May 12, 2004 09:06 AM | TrackBack