○ニュース&レビュー海外編
(NIKKEI NET ITニュースメール 6/22/2004掲載)
今回は、160人以上ものメキシコの検察職員が腕にICチップを埋め込んでいたという衝撃的なニュースを取り上げた。米国でも以前、チップを埋め込んだ家族のことが話題になっていたが、今回は自分の意思ではなく入退室管理のために組織的に導入されたという点で大きく異なっている。今後、GPS機能とともに個人の追跡システムが当たり前になる時代が来るのだろうか。その他、減少しつつあると思われていたファイル共有ソフトによる違法ダウンロードが、実際には増加しているというニュース、IT業界と映画業界が協力して導入を図る新たなコンテンツ管理技術、性犯罪者にGPSブレスレットをつけて監視するシステムの実証実験について取り上げた。(長野弘子/ITジャーナリスト)
■ファイル交換の主役は、音楽から映画コンテンツへ(7/13 ロイター)
減少しつつあると思われていたファイル共有ソフトによる違法ダウンロードが、実際には増加していることが明らかになった。英ネットワーク管理企業のキャッシュロジック(CacheLogic)によると、ファイル共有ソフトで送受信されるデータ量は前年から倍増したという。
同社は、大手プロバイダーのネットワークに監視ツールを設置して、6カ月間の調査を行った。その結果、ファイル共有ソフトユーザー間で送受信されるデータ量は、1日当たりで音楽ファイル約30億曲分、あるいは映画ファイル約500万本分に相当することが分かった。また、「カザー」などの有名ソフトではなく、「ビットトレント」(BitTorrent)といった新興ソフトの利用が多くなり、交換されるファイルの大半も音楽ファイルから100メガバイトを超える映像ファイルに移行していることも明らかになった。
もちろん、ファイル共有ソフトで共有されているコンテンツがすべて違法ファイルとは限らない。ただし、この調査結果が発表された数日前には、インターネットユーザーの約4分の1が、映画ファイルをダウンロードした経験があるという調査結果が米映画協会(MPAA)から発表されている。今後は、映画コンテンツのダウンロードをめぐり、映画業界による取り締まりが激しくなりそうだ。
■映画コンテンツの保護を目指し、IT業界と映画業界が協力(07/14 CNET)
IT業界と映画業界の大手各社は14日、映画コンテンツの著作権侵害行為の防止を目的とした協力体制を作り、「AACS」(Advanced Access Content System)と呼ばれる新たなコンテンツ管理技術を導入することを発表した。同技術は、認証を受けたユーザーしかコンテンツのコピーや共有ができない仕組みで、ホームネットワークに接続したパソコンやモバイル機器で著作権の保護された映像コンテンツを見ることができるという。
AACS技術が導入された製品は、早ければ今年後半に市場に投入される予定。参加企業は、ワーナー・ブラザーズ、ウォルト・ディズニー、ソニー、IBM、インテル、マイクロソフト、東芝、松下電器産業の8社。
■メキシコ検事局、職員にICチップを埋め込む(7/15 AP通信)
メキシコの連邦検事長と160人の検察局職員が、昨年11月から腕にICチップを埋め込んでいたことが明らかになった。このICチップは、米ADSの子会社であるベリチップが製造したもので、費用は1つ150ドル。ICチップに保存された固有のID番号をRFIDスキャナーで読み取り、検察本部内の入場制限エリアに入る際の個人認証に利用している。また、だれが機密情報にアクセスしたかも記録できるという。
体内埋め込み型を採用したのは、局内におけるデータ流出事件のほとんどが職員によるものであり、それを防ぐためだという。メキシコでは医療上の理由でチップを埋め込んでいる一般人が1000人以上存在し、盗難防止からGPSチップつき貴重品が珍しくないので、チップの埋め込みに他国に比べて抵抗がないのかもしれない。しかし、体内に一度埋め込まれたICチップは簡単には取り除くことができないため、今後の取り扱いやプライバシー・ガイドラインを十分に考える必要があるだろう。
■性犯罪者を監視するGPSシステム、実証実験へ(7/13 AP通信)
テネシー州は、仮出所中の性犯罪者にGPS機能つきのブレスレットをつけて、彼らの行動を監視するという実証実験を進めている。予算は250万ドルで、来年初めに開始される予定。同州では、性犯罪者として登録された1200人中の約半数にGPSブレスレットをつける計画だ。性犯罪者は、託児所や小学校、被害者の住宅などの立ち入り禁止区域には近づくことができない。
警察当局は、彼らがこうした区域に近づいていないかGPSシステムで常時追跡することができる。また、彼らが昼間仕事に行っているかどうかを確認することも可能だ。同システムは、ウェブサイトからアクセスでき、立ち入り禁止区域に入ったら電子メールで知らせるなどの設定もできるので、監視しつづける必要はない。
テネシー州では、実験の結果次第では家庭内暴力により有罪となった人物など、性犯罪以外の犯罪者も追跡対象とする可能性があるという。果たして、ここまですべきかどうか疑問の余地が残るが、日本でも類似システムの導入が検討されたとき、どう判断すべきか考えさせられる。
どうも、憲太郎です。自分もGPSデータを使って初めて、その技術の面白さとまた、危険さを感じました。また、思っているより簡単に、今まで難しかった、個人の行動とかを把握することによる、技術屋としてのジレンマもあります。どんな、技術も使う人間によってかわるとよく言われますが、それだけで本当に良いのかどうか、迷うところですね。もちろん、政府とかだけがそういう情報を扱えるだけという状態も健全な社会ではないものと思いますが。GPSデータ、高解像度衛星画像、RFIDなどは特に、社会的意義をふまえて考えないといけないと思います、しかしそれだけのことを考える、余裕が今の社会にはないかも。何世紀後の人々が今の僕らを研究して、出す結果を楽しみにするしかないかも。
Posted by: エル・ケンタロウ at July 21, 2004 03:32 AMケンタローさん、どもども〜。Tokyo Picturisque、話題になっていますね!
コードをあつかう技術者の裁量が大きくなってきている世の中で、技術者の社会的責任を強く意識する人が増えているのは事実だと思います。便利な反面、導入の仕方によって個人のプライバシーを侵害することになってしまってはユーザーの支持を得られないので、これまで以上にきちんとガイドラインを発表したり、ブログなどで技術者本人の意見を表明することが必要だと思います。
疑問を持った人は誰でも、システムを作る側と自由に会話できる場所がますます必要になるのではないかな〜と思います。
Posted by: hiroko at July 22, 2004 02:35 AM