September 02, 2002

第二のMicrosoftを目指して盛り上がるシアトル・ドットコム

[ ASAHI ]

テレマティクス企業InfoMove、日本進出を狙う

文/写真:長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン

 シアトルと言えば、マリナーズの佐々木、スターバックスコーヒー、はたまたジミ・ヘンドリックスなどを思い浮かべる人も多いだろう。古くは貿易港として有名だったシアトルは現在、MicrosoftやAmazon.comに代表されるハイテク産業の集積地として生まれ変わりつつある。ストックオプションでドットコム・ミリオネアになった若者達が、次々と新しい会社を立ち上げたり、新興企業に投資しているのだ。その中でも、インターネットを使って車載用電子システム「テレマティクス」の開発を行っているInfoMoveは、ユニークなサービスで日本進出を狙っている。

●マップから近所のレストラン情報まで
 テレマティクスとは、ナビゲーション情報、盗難防止システム、走行中に故障した際のエンジン診断や修理工場への連絡などの機能を提供する車載用電子システムのことだ。現在、General Motorsの「OnStar」やMercedes-Benzの「TeleAid」などがテレマティクスとして有名だが、これらのほとんどはオペレーターに携帯電話で問い合わせる方式なので人件費などのコストがかかる。InfoMoveは、全方位測位システム(GPS)とワイヤレスインターネットを組み合わせ、マップやナビ情報、渋滞情報などすべてのコンテンツを同社のデータセンターから自動配信することで、低コストでのサービスを可能にした。これらのコンテンツは、たとえばニュースや株価情報、天気情報、近所のレストランやホテル情報はInfoSpace、走行中に故障した際のエンジン診断や修理工場への連絡先などはALLDATA、リアルタイムの渋滞情報はEtakといった具合に、すべて提携パートナー企業からライセンスしている。同社は来年、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)として、この技術システムを自動車会社やデバイスメーカーに貸し出す予定だ。

●通勤途中でモバイルコマース
 InfoMoveを使えば、車の中でいろんなことができる。たとえば、朝の通勤で車に乗り込むと、カーナビがいつもの道順を示してくれる。運転の途中で、ボイスポータルに頼んで、電子メールや『ニューヨークタイムズ』紙の社説を読み上げてもらい、途中で事故のために交通渋滞に巻き込まれそうになった場合には、自動的に異なる道順を示してもらう。
 また、複数のユーザーが仕事やプライベートでどこかに行く場合、お互いがどこにいるのかをマップ上で示してくれる「ジオメトリックス」サービスも提供している。インスタントメッセンジャーのように、互いに会話することもでき、誰かに自分の居場所を追跡されたくない場合には機能をオフにすることもできる。
 さらに、ユーザーのいる場所と時間に合わせて効果的な広告メッセージを送る「モバイルコマース(M-Commerce)」も提供できる。たとえば、オフィスに出勤する途中、カーナビのスクリーンにスターバックスコーヒーのサインが出てきて「おはようございます。煎れたてのコーヒーはいかがですか?私達のお店に寄っていただければ、ラテを割引します」というアナウンスが流れる。ユーザーはその店に行き、デジタルクーポンなどを使って割引サービスを利用することができるという具合だ。

●サービス開始はまず日本で
 InfoMoveでは、来年初めにベータバージョン、来年の第2四半期に正式バージョンを公開する予定である。NTT-ME、三井コムテックなどの日系企業からも投資を受けている同社は、サービスの開始は、米国に比べてワイヤレスネットワーク技術が進んでいる日本から行うとしている。しかし、『WIRED』誌によると、クルマ社会の米国では、人々が自動車の中で過ごす時間は1週間で平均5億時間にのぼり、通勤のために自動車を運転する時間は1人当たり1日88分という調査も出ており、米国市場も巨大である。コンサルティング会社のStrategis Groupによると、テレマティクス市場は1999年の4,000万ドル市場から2004年には17億ドル市場に拡大し、ユーザー数では82万人から1,100万人へと飛躍的に伸びると見込まれている。 同社はまた、将来的には、歩道や飛行機内など自動車以外のすべての場所で、いつでもどこでもテレマティクスを使用できるサービスを目指すと意気込みを見せている。(2000年10月)

写真1:InfoMoveのオフィス入り口:Microsoftから車で約10分のところにある
写真2:Peter Holland社長兼CEO:「私はシアトルで生まれ、シアトルで育ったシアトルっ子だ」と語る。ワシントン大学で経済学を専攻、McCaw Cellularに就職して以来ワイヤレス業界でキャリアを積む。
写真3:モバイルコマースの例:カシオのPocketPCのスクリーンに表れるスターバックスコーヒーのサイン


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淘汰が進む米国のブロードバンドコンテンツ

[ ASAHI ]

短編ビデオ制作会社のHonkworm設立者へインタビュー

文/写真:長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン

 日本でもADSL接続サービスがいよいよ本格化してきたが、米国ではISDNを含めた家庭のブロードバンドユーザーは昨年12月には1200万人近くまで達しているという結果がNielsen NetRatingsから発表された。こうしたブロードバンドユーザーのために広帯域コンテンツを開発する様々な企業が登場しているが、その中でも質の高い短編ビデオを多数制作しているHonkworm Internationalを訪ねてみた。

●カルト的な人気を呼んだ『FishBar』
 シアトルに本社を構える同社は、若者を対象にした2〜3分の短編アニメを制作するプロダクションであり、バーでたむろする魚を描いたコメディ短編『FishBar』は世界中からカルト的な人気を集めている。このショーはMTVのテレビ番組にも登場し、NikeやBudweiserといった大手企業スポンサーを獲得した。同社の短編ビデオの特徴は、接続速度が28Kbpsや56Kbpsといったナローバンドでもビデオを十分に楽しめることだ。長編ではないので仕事の合間の数分間に息抜きとしてちょっと観るといったことができる。創設者のJohan Liedgren氏は「会社を設立した1997年には、ウェブに娯楽的な要素がほとんどない状態でした。そこで、我々がそれを提供しようと考えたのです」と語る。同氏はスウェーデン出身で、同社を設立する前はMicrosoftで7年間働いた経験を持つ。同社は『FishBar』のほかにも、シリコンバレーの若者達をシニカルに描いたコメディ『Siliconites』、『Dog In A Box』など数々の短編を発表している。

●淘汰されるブロードバンドコンテンツ
 この成長市場にハリウッドなどの既存勢力も続々参入しており、1999年10月にはスピルバーグ監督の会社であるDreamworksが短編ビデオ配信サイトの「POP.com」を、同11月にはWarner Bros.が総合娯楽サイトの「Entertaindom.com」を立ち上げ、大きな話題を呼んだ。しかし、米国のドットコムバブルが崩壊した2000年以降はコンテンツ企業の倒産やレイオフが相次ぎ、ネットTV企業の草分け的存在であったPseudo ProgramsおよびDENの操業停止という象徴的な出来事が起こった。また、通称Napsterのビデオ版と呼ばれたScourも廃業に至り、結果的にはPOP.comは大幅な事業計画の縮小、Entertaindom.comはサイト閉鎖への道を辿るという憂き目に遭っている。
 こうした状況に対して、Liedgren氏は利益の出るビジネスモデルを確立していない企業はどんどん淘汰されていくと主張する。「私達は、短編ビデオの制作、コンテンツのシンジケート以外にも、例えば短編ビデオの中で主人公が飲んでいるビールにBudweiserの赤いロゴを入れるといったような広告手法でスポンサーを獲得しています。バナー広告では不可能だった効果的なブランド構築を広告主に提供できます」と語る。

●リッチメディア広告で生き残りをはかる
 それでは、バナー広告でブランド構築はできないのだろうか?同氏は、難しいと考えている。「映画館で映画を観るとき、面白くなくても黙って観る人達は上の世代で、若い世代は席を離れたり友人とずっと話したりしています。こうした世代を惹きつけるためには、より高い娯楽性を持つ広告が必要になります。Honkwormの短編アニメはみな口コミで広がっていきました。こうした娯楽的な要素を盛り込んだ広告が、ウェブ上でのブランド構築には不可欠になります」と語る。欧州市場にもコンテンツを提供している同社は、これから本格的に日本に進出するという。今後は、日本製のビールを手にした魚たちを見ることができるかもしれない。(2001年3月)

写真1:Honkworm International創設者のJohan Liedgren氏。
写真2:カルト的な人気を誇る『FishBar』:同社サイト(http://www.honkworm.com/shows.htm)から観ることができる。
写真3:同社のオフィス風景。シアトル企業としては珍しくニューヨークスタイルのロフト。

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ナップスターが残したもの

[ ASAHI ]

文/写真:長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン

 またたく間にブームを呼んだ無料ファイル交換サービスのナップスターは、現在、音楽業界との1年におよぶ訴訟で、業務停止の危機に見舞われている。今年2月に裁判所から事実上の敗訴を言い渡された同社は、これに従うと同時に今後はサービスを有料化して生き残りを図る計画だが、レコード会社から要求されている巨額の賠償金問題など厳しい将来が予測されている。ここまで多くの人々を魅きつけ社会現象となったたナップスターの魅力とは何だったのだろうか。また、ナップスターが残した、デジタル音楽配信の課題とは何かを探ってみた。

●若者たちに圧倒的人気を誇るナップスター
 ナップスターは、中央サーバーにコンテンツを保存することなく、個人のパソコンからパソコンへMP3音楽ファイルを直接ダウンロードできるサービスだ。1999年半ばに公開されると同時に急速な広がりを見せ、わずか2年足らずでユーザー数は6400万人に膨れ上がった。使い方はいたって簡単で、1.5メガバイト程度のソフトをダウンロードしてユーザー登録をするだけで、自分のデスクトップにあるMP3ファイルが自動的に検索され、『MyFile』というボックスに集められる。あとは、検索ボックスにお気に入りのアーティスト名を入力すれば、他のユーザーが持つ音楽ファイルがリストアップされ、そこから気に入った楽曲をダウンロードできる。画面の下側では、現在のユーザー数とダウンロード可能なMP3ファイル数が表示されており、音楽ジャンルごとのチャット機能もついている。つまり、このソフトを使えば他のサイトを訪れることなくありとあらゆる音楽が無料で入手でき、世界中の音楽ファンと語り合うことができるのだ。
 ナップスターの画期的な点は、とにかく使い易い点にある。使ってみれば分かるが、自分の好きな音楽が簡単に見つかるし、気が向けば趣味の合う人々とチャットもでき、一度試せば病みつきになってしまう。ナップスターのヘビーユーザーで自らもアーティストであるマイケル・アイリス氏は「ほかにも音楽のダウンロードサイトはあるけど、ナップスターみたいなコンセプトのサイトは今まで存在しなかった。楽曲の検索やダウンロードがとにかく簡単で、自由度が高く、何よりもかっこいい。他のサイトは音楽を売り込もうとしているのが見え見えだけど、ナップスターは自分達で音楽を共有しているというコミュニティ感覚がある」と語る。ナップスターは、特に大学のネットワークを使用できる大学生らを中心に爆発的に広まり、トラフィックの3割以上をナップスターが占めるようになった大学も登場し、同サービスの使用禁止が相次いだ。PC Dataの調査によると、普及率の高い年齢層は12〜24歳であり、この年齢層に限ると普及率は4割を超えるという。

●音楽業界の逆鱗に触れたナップスター
 このソフトを開発したのは、当時18歳の大学生だったショーン・ファニング氏だ。99年初め、ルームメイトが、音楽サイトのMP3音楽ファイルへのリンクがよく壊れていると愚痴をこぼすのを聞き、ユーザーのパソコンから直接音楽をダウンロードすれば問題が解決すると思いついた。このアイデアを押し進めるため99年5月に同社を設立、他の企業も同様なソフトを開発することを懸念した同氏は、親の反対を押し切り大学を中退、寝る間も惜しんでコードを書き続けたという。ちなみに、ナップスター(Nappy=縮れっ毛)とは、くせっ毛のある同氏につけられた高校時代のニックネームである。
 ナップスターは市場に出ると同時に爆発的に人気が出て、脚光を浴びたが、丁度その時ネット上でのMP3ファイルの無料配信に対して神経をとがらせていた全米レコード協会(RIAA)が、同ソフトに目をつけた。レコード会社を代表するRIAAは99年12月、同ソフトで交換されている音楽ファイルのほとんどは違法コピーであるとして同社を提訴、損害は1億ドル以上におよぶとし、不法に配信された楽曲1件につき推定総額10万ドルもの賠償金の支払いを求めた。これに続いて、ロックグループのメタリカも2000年4月、ナップスターおよびユーザーの多いイエール大学、インディアナ大学、南カリフォルニア大学を提訴するという強行手段に出た。このため、3校は次々と同ソフトの大学での使用を禁止、これに続いて全米で70校以上の大学がナップスター禁止方針を打ち出すという事件が起こった。
 窮地に追い込まれたナップスターは、2000年5月にベンチャーキャピタル(VC)機関から1500万ドルの出資を受け、経営陣もレコード業界の法律問題の解決で定評があるハンク・バリー氏を暫定CEOとして、本格的な事業運営に乗り出した。また10月にはBMG Entertainmentとの提携を発表、同社はBMGからの5000万ドルの資金援助とともに、有料化への移行を進めていくと発表し、他の大手レコード会社にもこの提携に参加するように呼びかけた。しかし、音楽業界の態度は冷ややかであり、今年2月に出された判決では事実上の敗訴となり、上告する意向を示しているが将来性が危ぶまれている。

●ナップスターが音楽業界に与えた影響は?
 それでは、ナップスターは本当にレコード会社やアーティストの著作権を侵害し、CDの売上を減少させているのだろうか。過去に遡ってみよう。RIAAは以前、ダブルカセットデッキやビデオデッキに対して同様な訴訟を起こしている。ダブルカセットデッキが登場した時には、違法コピーを作成するための道具だとこれを批判し、空テープの販売に高い税率を導入するよう政府に要求した。また、ベータ/VHSビデオが登場した時には映画産業が潰れる危険性があるという理由でメーカーを訴えた。しかし、実際にはこれらの技術の登場が新たな市場を生み出し、音楽や映画産業をさらに発展させるというプラス面に働いたのである。
 ナップスターの場合も、同様なことが言える。RIAAによると、ナップスターが広まった99年のレコード業界の売上は前年の137億ドルから146億ドルへと増加しており、2000年4月には人気グループのイン・シンクの最新アルバムが240万枚売れたが、これは発売1週目の売上では最高記録となった。また、5月にリリースされたブリトニー・スピアーズ、エミネムのCDもまたそれぞれ130万枚、176万枚売れたが、これにはネット上でのプロモーションが大きく貢献したと言われている。
 無名のアーティストにおいても、ナップスターを含めたMP3のダウンロードサイトのおかげで、既存のディストリビューション支配から解放され、CDの売上が上がったケースがある。ユーザーにとっては自分の好みのジャンルの曲をその場で聴けるので、優れたアーティストを簡単に見つけられるようになり、数曲聴いてアルバムが欲しくなったら彼らのCDをECサイトですぐに購入することができる。
 ただし、現在ナップスターがCDの売上に損害を与えていない理由には、交換されている音楽ファイルの質がそこまで高くないことが挙げられる。その多くはアマチュアが自分のデスクトップでエンコーディングしているもので、実際には音楽CDの音質よりもかなり落ちるのだ。したがって、実質的にはCDをカセットにダビングしたものと大差はない。つまり、カセットを友人に貸したりあげたりする行為をデジタル化したものが、ナップスターのファイル交換サービスだと言える。そのカセットをレコード会社に無断で再販して利益を上げない限りは、犯罪行為にはならないだろう。

●ナップスターが開けたパンドラの箱
 ナップスターの登場は、ある意味で、デジタル音楽配信に関して取り組みが著しく遅れていた音楽業界への刺激剤だったと言える。いったん開けられたパンドラの箱は、もはやもとに戻すことはできない。今後は、エンコーディングの質もさらに高まり、限り無くオリジナルに近い音楽ファイルが無数にネット上で行き交うことになるだろう。また、GnutellaやAimsterなどナップスターと同様なP2Pソフトがどんど登場しており、ナップスターを潰しても海賊行為は水面下に潜って行われるだろう。さらに、ナップスターをあらゆるデータファイルにまで拡張するソフト「Wrapster」も出回っている。これを使えば、音楽ファイルだけではなく映画やソフトウェアなど、多種多様なコンテンツが大手サイトを通さずに共有または交換できる。ブロードバンドの普及とともに、交換されるファイルの種類は大幅に拡大し、今後は音楽業界だけではなく、映画業界、ソフトウェア業界などありとあらゆる情報産業を巻き込んだ問題に発展することが予測される。今後は、デジタルファイルにアクセス権を組み込んだデジタル著作権管理(DRM)技術の導入とともに、音楽業界とテクノロジー企業が互いの利益を尊重しながら新たな市場を確立していくことが必要になるだろう。(2001年3月)


■ナップスターと類似したファイル交換ソフトウェア■

Aimster
「バディリスト」に登録された相手との間で音楽ファイルなどが交換できる。現在、ナップスターのユーザーの多くがここに流れている。

Gnutella
中央サーバーにアクセスせずにどんな種類のファイルでも匿名で交換できる。ナップスターがユーザー間の橋渡し役として中央サーバーを必要とするのに対して、Gnutellaはユーザーがサービスを提供している別の人に直接接続するので中央サーバーは存在しない。AOLの開発者チームが3月にリリースしたが即座にサイトは削除。現在のソフトはその間ダウンロードされた1万件をもとに開発されたもの。

Freenet
Gnutellaと同様、中央サーバーにアクセスせずにどんな種類のファイルでも匿名で交換できる。

OpenNap
Wrapsterと同様、音楽ファイルだけではなく映画やソフトウェアなど、多種多様なコンテンツが大手サイトを通さずに共有または交換できる。


■ナップスターを巡る動き■
1999年12月8日 全米レコード協会(RIAA)、著作権侵害でナップスターを提訴
2000年3月14日 America Online(AOL)のSpinner/WinAmp音楽ソフト部門の開発者チームがGnutellaをウェブ上でリリース
2000年3月15日 AOL、Gnutella開発は同社とは関係のない個人的行為であると発表
2000年4月10日 Gnutellaのオープンソースコミュニティ(http://gnutella.wego.com)が開設
2000年4月13日 ロックバンドのMetallica、ナップスターと大学3校(イエール大学、インディアナ大学、南カリフォルニア大学)を提訴
2000年4月14日 イエール大学、Metallicaによる提訴を受けてナップスター禁止令を出す
2000年4月15日 「ナップスターから手を引け」とのメッセージとともにMetallicaのサイトがハッキングされる
2000年4月19日 Metallica、被告のリストからイエール大学を削除
2000年4月20日 インディアナ大学、Metallicaによる提訴を受けてナップスター禁止令を出す
2000年4月25日 南カリフォルニア大学、Metallicaによる提訴を受けてナップスター禁止令を出す
2000年4月25日 ハードロックバンドのLimp Bizkit、無料コンサートツアーでナップスターと提携
2000年4月26日 ラップアーティストのDr.Dre、ナップスターを提訴
2000年5月5日  連邦地裁判事、ナップスターによる略式判決の請求を退ける
2000年5月10日 ナップスター、Metallicaによる要求を受け著作権侵害者として31万7377人を除名
2000年5月22日 ナップスター、Hummer Winblad Venture Partners他により1500万ドルの出資を受ける
2000年5月22日 米民主党指導者協議会のシンクタンク、Policy Instituteが議会に対して、著作権侵害者を追跡するための法律制定を求める
2000年5月24日 米下院小規模事業委員会、デジタル音楽配信に関する公聴会を開催。音楽交換ソフトの法的規制を検討するのはまだ時期尚早との見方が主流に。
2000年7月26日 米連邦地方裁判所、ナップスターでの著作権付き楽曲の交換を一切禁ずるという差し止め命令を言い渡す
2000年10月31日 ナップスター、同社を提訴したBMG Entertainmentの親会社である独メディア大手Bertelsmann AGとの提携を発表。有料サービスとして生まれ変わることを発表
2001年2月12日 米連邦控訴裁判所、ナップスターでの著作権付き楽曲の交換を禁ずることには変化ないが、その範囲を絞って停止命令を出し直すよう指示して地裁に差し戻す
2001年2月20日 ナップスター、著作権付きの楽曲を交換するための権利として5年間で10億ドルを支払う和解条件をレコード業界に提示
2001年3月5 日 米連邦地方裁判所、著作権付き楽曲を特定する作業はレコード会社もその一部を負担すべきという仮処分を決定
2001年3月6日 グラミー賞組織委員会、ナップスターを提訴
2001年3月7日 オンライン音楽配信サイトのEMusic、ナップスターを提訴


画像1:ナップスターのホームページ(http://www.napster.com/)レコード会社に対抗して米政府に同サービスの存続を訴えるよう、ユーザーに呼びかけている。
画像2:ナップスターの『MyFile』ボックス。ここにユーザーのパソコンのMP3ファイルが自動的に保存され、他のユーザーからダウンロードした音楽ファイルも収められる。
画像3:ナップスターの検索サービス。アーティスト名や曲名で検索すると、楽曲がリストアップされる。ファイルサイズやファイル所有者のネット接続速度なども掲載される。中には14.4kbpsでつながっているユーザーも。
画像4:ナップスターのチャットコーナー。いろんな音楽情報をここで入手。
画像5:Gnutellaのホームページ(http://gnutella.wego.com/)音楽業界の次の訴訟のターゲットになるのか?ちなみに、『http://www.gnutella.com/』に訪れるとあるメッセージを見ることができる。
画像6:デジタル著作権管理(DRM)技術企業、ReciprocalのLarry Miller音楽部門社長。「DRMを使えば、ある音楽ファイルを販売する際にユーザーが何回聴けるかを設定したり、月額料金を支払って好きなアーティストの音楽を無制限に聴けるなど、細かなルールを設定できる」と語る。
画像7:ナップスターのヘビーユーザーで自らもアーティストであるマイケル・アイリス氏(左)「アーティストは今までだって自分達の稼ぎの1割も貰ってなかったんだ。それぐらいだったら、ナップスターを有料化して曲が売れたらミュージシャンに直接お金を渡すようにする方がよっぽど良心的だと思う」と語る。

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September 21, 2001

急速に伸びるインターネット広告市場の未来を探る

[ ASAHI ]

アメリカで開かれた広告業界イベント
「Jupiter Online Advertising Forum」レポート

文/写真・長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン(1998年9月号)

 インターネット広告は、ホームページ上部に横長のグラフィックを設置するお馴染みの「バナー広告」から、電子メールに5行程度のメッセージを折り込む広告、ホームページのスポンサーシップ、広告つきブラウザソフト、チャット広告、などさまざまな形態が登場しており、飛躍的な勢いで成長している。そんなインターネット広告業界のイベントが、ニューヨークで開かれた。


「1000人見たら数十ドル」というバナー広告の料金体系

インターネット広告の市場規模は、1996年には2億7500万ドルだったのが今年は約20億ドルに、さらに2003年には150億ドル市場にまで伸びると予測されている。成長著しいこの分野の関係者を集め、インターネット広告業界の会議「Jupiter Online Advertising Forum」が、8月11日から13日までニューヨークで開催された。
 インターネット広告には、さまざまなパターンがあるが、現在主流になっているのはバナー広告だ。グラフィックのサイズに規定はないが、その多くは468x60ピクセルか120x90ピクセルである。米インターネット広告協議会(IAB)により、これらを含めて8種類の標準が提案されている。既存のメディア広告ともっとも異なる点は、興味があれば広告をクリックして目的のサイトへ飛んでいけること、またアクセスの記録を分析しターゲットの絞り込みができる点にある。
 バナー広告の出稿料は、広告が掲載されているサイトにユーザーが1000回訪れたとき、いくら広告主がホームページの持ち主に支払うかというコスト(CPM)をベースにしたものが主流だ。平均的なサイトはCPMが25-35ドル、YahooやInfoseekなどの人気サイトになるとプレミアムがついて70ドル以上になる場合もある。例えば、1日に1万人がアクセスすると、ホームページの持ち主は数百ドル受け取る計算になる。その他、ターゲットを絞ったユーザーをベースとするモデルなども登場している。
 電子商取引サイトに特化したi-trafficというメディア・プランナーなどは、「到達→認知→態度変容→購買行動」という広告の目標を重視し、「広告を見たかどうか」ではなく、「広告商品を買ったかどうか」をベースとする料金設定を採用している。
 また、インターネット広告は、広告会社と出版社の間に立つ「メディアレップ」の存在をさらに重要なものにしている。メディアレップとは、広告スペースの仲介を行う企業だ。極端な話、すべてのホームページにはバナー広告を設置できるわけだから、インターネットには無数の広告スペースが溢れていることになる。それを既存の広告会社が細かく管理できないので、広告スペースを募り取りまとめて広告会社・広告主に働きかけていく存在である。

重要性を増すバックエンドシステム

 インターネット広告の特性を最大限に活かした広告展開を行うためには、ユーザー情報や広告スペースを管理するための新たな技術が必要になる。とくに、広告スペースを管理し、各ユーザーに最適な広告を配信するための「アドサーバ」技術の開発は急速に進んでいる。アドサーバとは、広告主が広告を配信し、配信状況やその効果を把握して報告する技術であり、IDやパスワードでログインしてウェブ上で報告を入手するサービス・ビューロー型、アドサーバ・パッケージを購入するシュリンクラップ型に大別される。
 この分野の代表格であるDoubleClickでは、サイトの種類だけでなく、ユーザーの使用しているブラウザやOSタイプ、さらにアクセスしている地域や時間などの情報をもとに、特定ユーザーへの絞り込みを実現するアドサーバ・サービス「DART」を開発している。具体的には、ユーザーIPアドレスからネットワークアドレスを抽出し、会社を識別して対象にふさわしい広告を選択する。さらに、ユーザーが同じ広告に何度も無駄に遭遇しないようにユーザーと広告の接触を追跡するクッキーを使用している。
 NetGravity社も11日、IBMとの提携により同社のアドサーバ「AdServer」を使用した広告管理サービス「AdCenter」を提供することを発表した。この技術が効果を発揮すれば、ウィンドウズユーザー向けにマックのソフトウエアの広告が表示されるといった無駄がなくなる。Asahi.comでは、このAdServerを使用している。
 またユーザー情報についても、年齢や年収のみではなく、よく訪れるサイトや購入パターンなどの行動プロフィール(Behavior Profile)を重視する傾向が強まっている。4000万人のユーザーを抱えるInfoseekでは、行動プロフィールを学習する「Ultramatch」サービスを1996年後半から提供しており、これによりオンライン旅行サイトや自動車販売サイトのクリック率は大幅に高まったとしている。

さまざまな新ビジネスが登場

 現在、クリック率やユーザー情報の正確性を高めるため、プロモーション用の懸賞やクジ、オンラインゲームを提供するユニークな企業も次々と登場している。この分野の草分け的存在であるYoyodyneは、オンラインゲームを提供することで100万人以上の消費者データを収集している。同社のスポンサー向けプロモーションでは、10万-30万人の参加者を集めることも珍しくない。1996年に設立されたWebstakesもまた、インターネット上のカスタム・プロモーションを運営するための独自ソフトウエアおよび技術を使用してオンライン懸賞を提供している。
 今回の会議で注目を集めていた新興企業のNetcentivesは、提携ECサイトで製品を購入すると「ClickPoint」という通貨を提供するサービスを行っている。たとえば、Music BoulevardでCDを3枚購入すると100 ClickPoint。Visaを使用して買い物をすると500 ClickPointがもらえる。同社によると、ユーザーの40%以上が少なくとも1社から、13%が2社以上から製品購入を行っており、ECサイトの平均購入率は18%にも達するという。

「サイト視聴率」や「プライバシー保護」が今後の課題に

 12日の基調講演で、AOLのBob Pittman社長は「インターネット広告は大きなビジネスチャンス」と語り、今後のインターネット広告市場の巨大な可能性を示唆した。しかし、正確な広告の料金設定のために必要なサイト視聴率の測定標準が定まっておらず、ユーザー情報も正確性に欠けるなど、インターネット広告には多数の問題点がある。
 また、広告主のユーザー情報がサードパーティの広告会社に漏洩することに対する懸念も広がっている。同会議でModem MediaのG.M. O'Connell会長兼CEOも「ユーザー情報のプライバシー保護やセキュリティ管理が今後は重要になってくる」と語っている。現在、IABがサイト視聴率の標準策定への努力を行っており、プライバシー保護に関してはEngage Technologiesが匿名のユーザー情報を収集する技術を開発しているが、これらの標準策定や測定可能なモデル確立への努力が、インターネット広告市場の成長に不可欠だといえる。

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注目を集めるオンラインコミュニティ

[ ASAHI ]

「Tripod」の魅力を探る

文/写真・長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン(1999年1月号)

 目まぐるしく変化するインターネット業界のトレンドの中で、今最も注目を集めているのが、オンラインコミュニティだ。これは、特定の興味を持った人たちが集まり、チャットや掲示板で情報交換を行なったり、自分のホームページを無料で開設できるサイトで、代表的なサイトにはTripodやGeoCitiesなどがある。オンラインコミュニティは、もともとハッカーやラディカルな思想家達の間で、友達を見つけたり交流するためのバーチャルコミュニティとして10年以上も前に始まった。しかし、ここ数年のインターネット熱の急速な高まりと共に、オンラインコミュニティは誰もが使える便利なツールとして、またトラフィックを集める重要なサイトとしての役割を強めている。オンラインコミュニティの中でもとくに人気があるTripodを中心に、これらのサイトの仕組みや将来的な展望を探ってみた。


「無料ホームページ」という大胆なアイデア
 92年、当時20歳の学生だったBo Peabody氏により設立されたTripodは、ホームページスペースをメンバーに無料で提供するという大胆な方法で、巨大なオンラインコミュニティの構築に成功した。ユーザーは誰でも無料で登録メンバーになれ、その後は「Pod」と呼ばれるトピック別のオンラインコミュニティに自分のホームページを開設することができる。また、サイト訪問者がメッセージを残せるゲストブックや留守番電話、クイズ、ゲームなども自分のホームページに追加することができ、毎月3ドルでイメージデータベースの使用とチャットルームの追加もできる。「最大のマーケティング手法はユーザーの口コミ」と語る広報担当のKara Verkrich氏は、Tripodでホームページを開設するユーザーは毎日約4000人にのぼるという。


ユニークなサービス「Private Pods」
 Tripodは今年2月、大手ポータルのLycosにより5800万ドルで買収された。Tripodではこれにより、Lycosが4月に買収したWiseWireの優れた検索技術を使用することができるようになった。さらにParableとの提携により、メンバーはWebデザインツール「ThingMaker」でデジタル著作権つきアニメーションをホームページに掲載できる。さらに、「プレビルド・テンプレート」を使用してホームページにCDnowなどの電子商取引(EC)機能を簡単に追加できる。Verkrich氏は、これにより「Tripod、メンバー、(CDnowなどの)提携パートナー企業のすべてが利益を受ける」と語る。12月には、ホームページをよりプライベートなものにしたい人のための新サービス「Private Pods」を発表した。これは、メンバーがあらかじめリストに掲載した人物のみしかホームページへのアクセスができないというユニークなサービスだ。


台頭するライバルコミュニティ
 一方、他のオンラインコミュニティも勢力を拡大している。Tripodと同様のサービスを提供するGeoCitiesでは12月、300万人のメンバーを達成したと発表。同社は8月にIPOを行ない、全体的な市場の低迷にもかかわらず20 5/16ドル高の37 5/16ドルで取引を終了した。同社は、ページカウンター、検索エンジン、アドレスブック、調査などが自分のホームページに追加できる「GeoPlus」プログラムを毎月4.95ドルで提供している。さらにグレードアップしたいメンバーには、Netopiaのビジネスソフトウエア「Virtual Office」を使用したビデオ会議、チャット、インターネット電話などを毎月49.95ドルで提供している。TheGlobe.comも無料ホームページ提供の他、Microsoftの「FrontPage」をサンプル使用して割引購入できるサービスを提供している。同社は11月にIPOを行ない、公開価格の605%増という54 1/2ドルで初日の取引を終了し、大きな話題を呼んだ。


ポータルもオンラインコミュニティに注目
 加熱するポータルサイトの争いの中でも、オンラインコミュニティはとくに重要な役割を果たしている。今年に入り、大手ポータルは一斉にオンラインコミュニティの買収や独自のコミュニティサイト構築に乗り出した。Yahoo!とExciteは今年8月、オンラインコミュニティ「Clubs」と「Community」をそれぞれ開設し、AOLも同様の無料ホームページ提供サービスを始める。これは、ユーザーが何時間も滞在するオンラインコミュニティが、Webユーザーの獲得に最も必要な「粘り気(Stickiness)」をポータルに提供するからだ。これにより、ポータルは広告収入を増やし、電子商取引(EC)による売上シェアリングでも利益を得ることができる。さらに、AOLやNetscapeが構想するように、ポータルがスケジュール管理や組織ミーティングなどのビジネスツールとしての役割を将来的に担う場合、メンバー間のWeb会議などを提供するオンラインコミュニティの重要性はますます高まるものと予測される。

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'99 International Consumer Electronics Show (CES)レポート

[ ASAHI ]

「地球見聞録欄」
コンシューマ市場が率いる弟2のインターネット革命

文/写真・長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン(1999年2月号)

 1月7日から10日までラスベガスで開催された消費者家電の最大規模のトレードショー「CES」では、将来のコンピューティングを象徴する多様なPC/家電の融合製品が展示された。ここ数年は、どちらかというとコンピュータ関連のトレードショー「Comdex」に押され気味だったCESだが、今年はオーディオ、ビデオ、コンピューティング、ワイヤレス製品以外に、インターネットを使用したホームネットワーキングやインタラクティブTV製品などの新たなトレンドが大きく注目された。会場は、280社の新規出展を含めた1800社以上の出展企業、9万人を超える小売業者や企業の購入担当者などで溢れ、盛況な4日間となった。


ホームネットワーキングに力を入れる各社

 基調講演でCisco SystemsのJohn Chambers社長兼CEOは、同社をインターネット企業と位置づけ、コンシューマ部門を開設してホームネットワーキング用の技術と製品開発に力を入れていくことを明らかにした。同氏は、同社が開発しているホームネットワーキングの例として、ステージ上に設置されたリビングルームの温度調節や照明を、遠隔地のPCブラウザから変更するデモを行なった。同氏は「患者に問題が起こったときには自動的に医師に連絡が届くような心臓モニタなど、インターネットはさらに広範な分野で活用されるだろう」と語った。また、米Sony ElectronicsのHoward Stringer会長兼CEOも基調講演で、Javaベースのホームネットワーキング技術「HAVi」の開発に力を入れていくとした。一方、MicrosoftはHAViに対抗して、Windows 2000をベースにした「Universal Plug and Play(UPnP)」イニシアチブを発表した。UPnPを使用すれば、ネットワークにつながれていないプリンタが、赤外線ポートから自らの存在をネットワークに「知らせて」印刷を実行できる。同社は、IntelやHewlett-Packardなどと提携して、UPnP対応デバイスのインターフェース・セットを開発しており、早ければ今年4月にはスペックとサンプルソースコードを提供する予定。

放送中の番組を一時停止できるインタラクティブTV


 また、会場の人気をとくに集めていたReplay NetworksのTVセットトップボックス「ReplayTV」は、同社独自のデジタル変換技術を使用して放送中のTV番組の一時停止、録画を行なうインタラクティブTVだ。同社が「TV版ポータル」と呼ぶWebサービス「Replay Network Service (RNS)」で最新の番組情報をダウンロードし、録画したい番組をクリックするだけでその番組がハードドライブに保存される。6時間の記録が可能な6GBのハードドライブが搭載された製品「ReplayTV 2001」は699ドル。一方、WebTV Networksは、デジタル衛星放送のEchoStar Communicationsと提携して新たなセットトップボックスを発売する。8GBのハードドライブが内蔵された同ボックスには、TV番組の一時停止機能がついている。ただし、最初の発売段階ではReplayTVのような録画機能は使えず、将来的なソフトウエアアップグレードで同機能を提供するとしている。同サービスを使用するには、セットトップボックス499ドルの他、EchoStar月額料金の20ドル前後、WebTVサービスの24.95ドルが必要。

弟2のインターネット革命の波はコンシューマから

 その他、今年のCESではWeb搭載キッチン用TV「Advantage 2000」、27インチTVモニタ、DVDプレイヤーが備えられたGatewayのPC/TV製品「Destination XTV」(1999ドル)など、多様な融合製品が出展された。また、ホームネットワーキング実現への動きも本格化し、ネットワークの中枢システムをめぐる家電業界とPC業界の争いがいよいよ始まったといえる。「弟2のインターネット革命を定義づけるのは企業ではなくコンシューマである」とのChambers氏の発言は、言い換えると、スマートなインタラクティブTVと既存のWindowsベースのシステムのどちらがホームネットワーキングのOSとして選ばれるかということかもしれない。

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September 02, 2001

米国のオンライン映画事情

[ ASAHI ]

数々のスター監督が生まれる反面、ナップスター化する危険性

文/写真:長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン

 1999年に公開されたインディーズ映画『ブレアウィッチ』の爆発的ヒットはまだ記憶に新しいが、米国では現在、オンライン映画が新たなヒット映画を生み出す重要な発信源となりつつある。ブロードバンドとデジタルビデオ(DV)カメラの急速な普及により、ハリウッドのベテランからアマチュア監督まで、ありとあらゆる人々がデジタル映画の世界に足を踏み入れている状況だが、この分野で活躍する企業や人気のある映画、また大きな論議を巻き起こしている新たなビデオファイルフォーマットなどについて探ってみた。

●映画サイトからスター監督が誕生
 調査会社のジュピター・メディア・メトリックスによると、米国家庭のブロードバンドユーザーは現在860万人であり、2005年までには2880万人に急増すると予測される。また、ガートナー・グループの調査によると、ブロードバンドユーザーは、ダイヤルアップユーザーに比べてダウンロードやストリーミングを2倍以上も使用しており、今後もこの傾向に一層の拍車がかかるとされている。これらのユーザーに対して、デジタル映画を提供している代表的な企業が、アイフィルム(iFilm)である。同サイトでは1万5000本以上のビデオコンテンツを提供しており、カテゴリー別に映画を選べるほか、一番ビューワーが多い映画ランキングや、評価が高かった映画のランキングなども提供している。これらの映画の多くは、5分〜15分あたりの短編映画が圧倒的に多く、接続速度に合わせたストリーミングを用意しているので、ユーザーは気軽に映画を楽しむことができる。
 アイフィルムに映画を提出する人々の多くは無名の映画監督だが、ここから人気を得てハリウッドへ進出したりする人も登場している。例えば、2000年に発表されたデビッド・ガレットとジェイソン・ワードによる『Sunday's Game』が挙げられる。これはお年寄りの女性達が集まってロシアンルーレットを行うブラックコメディタイプの短編映画であり、この映画を制作していた当時は2人とも失業中で、予算はたったの1万2000ドル。制作が終わって15の映画祭にエントリーしたがすべて上映を断られ、当たった映画エージェンシーにもことごとく断られたという。困り果ててアイフィルムに作品を提出したところ、口コミで急速にユーザー数を伸ばして人気ランキングに入り、そこからFOXネットワークの幹部がその作品を観て、長編の制作契約に結びついたという。
 また、ハリウッドの特殊効果のベテランであるブルース・ブラニットとジェレミー・ハントによりDVとコンピュータのみで作られた映画『405』は、制作費がほとんどゼロの3分間の映画にも関わらず、カルト的な人気を集めることになった。彼らがやったことは、映画が完成した後で自分達のサイトに映画をアップロードして、そのURLを友人50人にメールで送っただけである。1週間後には25万件以上のビデオクリップがダウンロードされてサーバーがダウン、1カ月後にはダウンロード数は10万件にのぼっていたという。その後、同映画はアイフィルムで提供されるようになり、現在では310万回以上が視聴されて、アイフィルムの全映画の中でも最高記録に輝いた。その後、ハリウッドの大手タレントエージェンシーであるクリエイティブ・アーティスト・エージェンシー(CAA)との契約を果たし、現在では長編の制作に取りかかっている。

●実際の店鋪でビデオ販売も
 デジタル映画が最初にブレイクしたのは、ジョゼフ・レビーによる『George Lucas in Love』であり、まだ家庭のブロードバンドユーザーが180万人にも満たない1999年のことである。その年に上映された『Star Wars』と『Shakespeare in Love』を合わせたこのパロディ映画は、メディアトリップ(Mediatrip)で公開されるや否や大きな反響を呼んだ。現在ではアマゾン・コムなどのECサイト、またタワーレコードやブロックバスターなどの実際の店鋪でビデオ販売されており、オンラインでは2万本、オフラインでは2万5000本が販売された。
 その他にも、今年から新たに始まったサンダンス映画祭のオンライン映画部門で上映された『The New Arrival』を制作したエミー・トーキングトン、オンライン映画界で圧倒的な人気を誇るトッド・ベローなどの数々の優れた映画監督を生み出している。エミー・トーキングトンは、制作予算をまったく持っていなかったが、アトムフィルムズ(AtomFilms)が360度撮影できるビデオカメラを提供するなどのサポートを行っている。アイフィルム、メディアトリップ、アトムフィルムズのほかにも、ヒプノティック(Hypnotic)、ニブルボックス(Nibblebox)などのオンライン映画サイトで、毎日のように新たに映画監督が誕生している。

●ビジネスユーザーを狙うアイフィルム
 しかし、これらの映画サイトがすべて成功しているわけではなく、失敗している企業も多い。ドットコムバブル崩壊のあおりを受け、昨年から今年にかけて多くの娯楽サイトが閉鎖した。デジタル・エンターテイメント・ネット(DEN)、スカウアー(Scour)、インターネットTVのスードー(Pseudo)などの撤退は大きな話題になり、スティーブン・スピルバーグが開設しようとしたPOP.comにいたっては、開設する前に計画がつぶれてしまった。
 映画サイトの多くは生き残りをかけて、映画ファンへのコンテンツ提供だけではなく映画制作会社や配給会社へのサービス提供など、ビジネス市場に参入している。例えば、アイフィルムは映画情報会社のフィルムファインダーを買収することで、ビジネス市場への対応を強化している。1988年からサービスを提供しているフィルムファインダーは、映画制作、スケジュール、キャスト、プロデューサー、ファイナンス、配給など映画に関するありとあらゆる情報を印刷物およびCD-ROM版で提供しており、4万本以上の映画情報を管理している。契約企業は世界的に有名な映画監督やプロダクションなどを含めて1000件を超えているという。
 アイフィルムはさらに、オンラインでデビューしたデジタル映画をオフラインの世界へ広げる努力も行っており、ケーブルテレビ局のインディペンデント・フィルム・チャンネル(IFC)と提携して、今年4月からアイフィルムの映画をテレビで放映するための新たなテレビ番組『IFILM@IFC』を開始した。これにより、3000万世帯以上の家庭でアイフィルムの映画が視聴できるようになる。

●Divxで映画もナップスター化する?
 今後は、ブロードバンド接続サービスの普及とコンピュータの性能の向上により、ますますオンライン映画がネット上に溢れることになるだろう。しかし、それと同時に、映画ファイルが音楽ファイルと同じように手軽にやり取りできることで、海賊版が氾濫するという懸念が大きくなりつつある。
 例えば、『DivX』と呼ばれる新たなビデオ圧縮技術を使えば、高画質を保ったままで大幅な圧縮を行えるようになり、90分や120分の長編映画も簡単にダウンロードして、1枚のCDに収めることが可能になる。ブロードバンドユーザーの中には、映画をDVDから直接Divxファイルに変換して、友人たちとネットでやり取りする人たちもいる。こうした状況は、ナップスターが登場する少し前のMP3ファイルのやり取りの状況とよく似ている。
 現在のところ、ブロードバンドユーザーのほとんどは1.5Mbps以内であり、Divx技術もまだ『プロジェクト・マヨ』などのディベロッパーコミュニティで開発中の段階であり、一般ユーザーが簡単に使えるまでには至っていない。しかし、技術が改善され、100Mbpsのブロードバンド時代になれば、オンライン映画のダウンロードに手慣れたユーザー達が、MP3ファイルのようにDivxファイルを交換する可能性もありうるだろう。(2001年5月)

画像1:アイフィルムのホームページ(http://www.ifilm.com/)

画像2:デビッド・ガレットとジェイソン・ワードによる『Sunday's Game』
内容がバイオレンス過ぎるという理由ですべての映画祭や映画会社に断られるが、オンラインで大成功を収めた。

画像3:ブルース・ブラニットとジェレミー・ハント制作による映画『405』
大手タレントエージェンシーのCAAでは、アイフィルムが存在しなかったら彼らを見つけることはなかったという。

画像4:ジョゼフ・レビーによる『George Lucas in Love』は、アマゾンなどのウェブサイトから購入できる。ちなみに価格は12.99ドル。オンライン/オフラインで4万5000本が販売された。

画像5:アトムフィルムズのホームページ(http://www.atomfilms.com/)
今年1月15日にShockwave.comに買収された。

画像6:トッド・ベローの『The Death of Dottie Love』
同氏はこれ以外にもアンディー・ウォーホルがファクトリーで行ったような実験的なアートフィルムを10本アイフィルム上で発表している。

画像7:プロジェクト・マヨのホームページ(http://www.projectmayo.com)
『OpenDivX』と呼ばれるオープンソースを提供している。


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コンテンツの定義を変える?

[ ASAHI ]

「コンテンツ・クリエイターの流通革命」
〜コンテンツの定義そのものを変える可能性も

文/写真:長野弘子
掲載媒体:ASAHIパソコン

 インターネットの登場は業界を超えたあらゆる分野を巻き込んで変革の波を起こしているが、音楽家や映像デザイナー、作家といったコンテンツ・クリエイター達にとっても例外ではない。ブロードバンドの普及により、既存の大手メディアに依存せず、直接ユーザーに自分達の作品を配信したりファンとのコミュニケーションを取るクリエイターが増えることで、コンテンツの配信モデル、さらにはコンテンツの定義そのものが大きく変貌を遂げる可能性がある。

●ブートレグを自らリリースするパールジャム
 ネットを使えば、オリジナルに近い音楽が即座にやり取りできるので、無名のアーティストにとっては自分の音楽を宣伝する絶好の機会になる。ニューヨーク在住の音楽家、マーク・アリソンは、デビューのきっかけを「自分の作曲した楽曲を電子メールに添付していくつかの音楽レーベルに送ったら、僕の音楽を気に入ってくれたレーベルから連絡があって、CDの契約が決まったんだ。ネットがなかったら、こんなに簡単に契約できなかったと思うよ」と語る。
 しかし、ネット上で自由にデジタルファイルが飛び交う状況は、既存の音楽レーベルにとってはCDの売上減という大きな脅威につながる。音楽業界はそのため、無料音楽ファイル交換ソフトのナップスターを徹底的に潰した。その一方で、ブートレグ(海賊盤)の流通を認めながら、大きな成功を収めているバンドも存在する。
 超人気バンドのフィッシュは、彼らのコンサートを自由に録音してMP3ファイルで交換することを認めている。ただし、ブートレグを販売して個人が利益を得ることはできない。実質的にはナップスターと同じことが行われているわけだが、現在フィッシュのファンサイトは150を超え、彼らとファンの結びつきはより強まっている。フィッシュが公式サイトで今年のニューイヤー・パーティを告知したところ、会場には7万5000人のファンが押し寄せて、世界中で一番大きなパーティとなった。
 有名バンドのパールジャムはまた、ライブのたびにブートレグが無数に出回ることを逆手にとり、自らツアーのすべてを録音して2枚組CDの72枚にまとめた。すると、今までは音質が悪いうえに高価だったブートレグを買っていたファンが正式盤CDへと流れて、その中の14枚がビルボードのヒットチャートに入るほど売れたという。ちなみに、CDタイトルも「ブートレグ」と名付けられた。

●映像分野の流通とマーケティングが変わる
 また、映画の世界でもネットとブロードバンドの登場により、大きな変化が起きつつある。ネットを最大限に活用したマーケティングの最初の例として、99年夏に封切りされた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は、広告費のほとんどをネットに費やしたゲリラ的なマーケティング戦法により、他のハリウッド映画に大きく差をつけ1億4000万ドルの売上を達成した。これまでは、映画の成功のためには配給とマーケティングを独占している既存のメディア大手に頼るしかなかったが、この構図が大きく変化したことを象徴する出来事になった。
 また、ブロードバンドの普及とともに、ストリーミング・ビデオ分野から数々の映画監督が登場している。デビッド・ガレットとジェイソン・ワードは、製作した映画「Sunday's Game」を15の映画祭にエントリーしたがすべて落選し、困り果てて短編映画サイトのアイフィルムに掲載した。その後、同映画は口コミで人気を呼び、FOXネットワークの幹部の目に止まり長編の制作契約に結びついたという。
 家庭が光ファイバーでつながりギガビット級の転送速度が実現するようになれば、ヴィラージが開発しているビデオ検索技術やビデオ・オン・ディマンド(VOD)などの技術が日常に組み込まれ、さらに大容量コンテンツが溢れるようになるだろう。VODソフトを開発するインターテイナーのジョン・タプリンCEOは「我々は今、新たな流通とマーケティングの形態を生み出すブロードバンド革命の渦中にいる。ブレア・ウィッチの成功はその始まりにすぎない」と語る。

●テキストと映像が融和する電子文学
 出版業界におけるブレアウィッチ的作品は、2000年3月にオンライン販売されたスティーブン・キングの短編小説「Riding the Bullet」だろう。この小説は電子ブックでのみ出版され、何と1日で40万部以上がダウンロードされた。このニュースは全米中で話題を呼び、老舗の電子ブックサイト「イーブックス・オン・ザ・ネット」はこの直後に取引件数が倍増したという。
 こうしたことから、今年から非常に名誉のある文学賞「全米図書賞」の対象に電子ブックも含められることになり、電子ブックはますます注目を集めそうだ。コンサルティング企業のアクセンチュアによると、同市場は2005年には2億3000万ドルに伸び、電子ブック閲覧用デバイスのユーザー数は2800万人にのぼると予測される。やや楽観的な数字ではあるものの、通常のウェブブラウザーで閲覧する電子文学も多数登場しており、本の概念を大きく変える試みを行っている作家も多い。例えば、電子文学機関が主催している「電子文学賞」を授賞したケイトリン・フィッシャーの「These Waves of Girls」は、FLASHを使用して文章と映像を美しく融和させた独特の世界を生み出している。
 さらに、フリーランスライターの記事を再販するサイト「フィーチャーウェル・コム」では、出版社や編集者は無料でサイトを閲覧でき、そこに掲載されている記事をライセンスする場合にはお金を支払うというビジネスを展開している。ライターは金額の60%を受け取れるなど、コンテンツが幅広く流通する仕組みがここにも出来つつある。他にも、2000年11月にシアトルの2大新聞の社員がストライキを行った際、記者らはピケを貼りながらもオンライン新聞「シアトル・ユニオン・レコード」を開設してレポートを行った。この臨時サイトはストライキが続いた7週間もの間続けられたが、一般的な新聞よりも臨場感があって非常に面白かった。

 ネット時代におけるコンテンツの流通モデルを探るなかで、単なる流通だけではなく、コンテンツの定義そのものが大きく変貌しているように思える。デジタルコンテンツが一瞬でやり取りされる状態では、個人が大量の情報を発信してしかも他人のコンテンツに簡単に修正を加えることができ、著作権の枠組が曖昧になってくる。こうした状況に対応するため、学術分野などでは「オープン・パブリケーション・ライセンス」(OPL)というコンテンツのオープンソース運動が広まっている。これは、コンテンツを公共ドメインにして自分の著作権が明記される限りはデジタル配信や複製、改変を認めるというものだ。今後は、技術的なボトルネックが解決されるとともに、大容量のコンテンツが大量に溢れ出すようになる。守る部分と共有する部分をいかに見極めるかが、企業やクリエイターの生き残りの鍵になってくるだろう。(2001年7月)

画像1:マーク・アリソン。「Of Earth and Sky」(ニューロディスク・レコーズ)と「Massive Eclipse」(ビレッジ・レコーズ)をリリースしている。

画像2:フィッシュの公式サイト:イベントスケジュールや最新ニュースがいつでも見れる。

画像3:パールジャムのCDシリーズ「ブートレグ」

画像4:インターテイナーのデモページ。映画、音楽、テレビ番組などのVODを提供している。

画像5:ケイトリン・フィッシャーの電子書籍「These Waves of Girls」:テキストと映像を組み合わせてインタラクティブに話が進んでいく。

画像6:フィーチャーウェル・コム(http://www.Featurewell.com/):政治からスポーツ、アートにいたるまで、世界中のニュースが集まる。

画像7:シアトル・ユニオン・レコード:7週間のストライキが終わった後もまだ開設されており、ストライキを終えた後の記者の感想、読者の意見が読める。

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