September 21, 2001

デジタルニュース(1998年2月号)

文:長野弘子

長期化するブラウザ法廷闘争

 マイクロソフトと米司法省の争いが泥沼化している。同社OSのWindows 95に同社ウェブブラウザInternet Explorer(IE)をバンドルする行為は1995年の司法命令に違反しているとして、司法省は10月20日同社を連邦裁判所に提訴した。司法省とマイクロソフト間で結ばれた同合意では、同社がOS市場での独占的な地位を濫用して別の同社製品をOSにバンドルして提供することを禁じている。これに対してマイクロソフトは11月11日、正式に上訴し、少なくとも現時点ではブラウザをOSから外す意志はまったくないことを明らかにした。司法省ではさらにこれに対抗し、11月20日、マイクロソフトの違法性を証明すると称する文書を公開して強力な反撃を加えた。

 長期化が予想されるこの法廷闘争も、その争点は同ブラウザがOSの一部か別製品かという一点に集約される。マイクロソフトはブラウザがOSの一部だと主張、司法省は 2つは別製品であり司法合意に違反していると一歩も譲らない。解決の糸口は現在まだ見つかってはいないが、先述の司法省が発表した文書では、この2つのソフト開発がまったく独立したものであることを証明するマイクロソフト幹部間の電子メール・メッセージなども含まれており、これが司法省に有利に働く可能性が高い。今後の予定では、12月5日に米地方裁判所で次回審問が行われることになっている。(1998年2月号)

「100%純正Java」は実現するか

 次世代言語のJavaをめぐるサン・マイクロシステムズとマイクロソフトの攻防が訴訟問題にまで発展した。10月7日、サンはマイクロソフトのウェブブラウザ、 Internet Exploror 4.0(IE 4.0)と同社ソフトウエア開発キットのJava実装がプラットフォーム間の互換性に欠けるという理由で、マイクロソフトを契約違反で訴えた。この突然の訴訟は業界を揺るがす大事件となり、両社の交わしたJava契約内容の公開を求める業界関係者の要求に応えて両社は10月16日、1996年に交わされた同契約をそれぞれのウェブサイトで公開している。

 今回の訴訟は、Javaに対する両社の思惑の食い違いが表面化したものだといえる。サンは、Java環境が次世代インターネット環境のオープン・プラットフォームになることを目指して「100%純正Java」を訴えており、一方のマイクロソフトはディファクト・スタンダードである同社OS環境だけでJavaアプリケーションも動作すればいいという考え方だ。なお、サンは11月19日、マイクロソフトが現在使用しているJava互換を証明するロゴ使用を中止させるための差し止め訴訟を米連邦地方裁判所で起こしている。(1998年2月号)

電話線をまとめるボンディング技術

 高速通信を実現する技術に、通常のアナログ電話回線2本をまとめるボンディング技術の導入があげられる。今年4月にはランプ・ネットワークが3本の電話回線をまとめることができるルータ製品「M3」を、11月にはダイヤモンド・マルチメディアが同様な技術を発表、またスリーコムが最大400Kbpsを達成するルータ製品を発売した。また、モデム製品の発表も相次いでおり、11月初めにはイスラエル企業のスマートリンクが最高112Kbpsを達成する「MODIO112X」を発表した。ボッカ・リサーチもランプ技術を採用した300ドル前後のモデムを12月に発売する。しかし、これらの製品を使用した場合のISPサービス料金はまだ未定であり、2回線分の料金を支払う可能性もあるという。今後の料金設定がこれらの製品を普及させる鍵になりそうだ。(1998年2月号)

DVD-ROMが1999年の主役

 11月12日のインスタット最新調査によると、1999年にはDVD-ROMドライブの出荷台数がCD-ROMドライブに迫るものと予測されている。今年のDVD-ROMの出荷台数はいまだに100万台に達していないが、1998年には同数が1090万台にまで増加する見込み。これはパソコンに搭載されるDVD-ROMドライブ数が急増しているためで、実際に今秋のハイエンド機の多くはCD-ROMドライブではなくDVD-ROMドライブを搭載している。また、2000年-2001年頃にはCD-ROMドライブの出荷が減少する一方でDVDドライブの出荷が急増し、前年比でそれぞれ2000年に71%、2001年に44%増加すると見られている。さらに書き込み式DVDドライブの普及も広がり、2001年にはDVDドライブ全市場の3分の1以上が書き込み式DVDドライブで占められると見られている。(1998年2月号)

1GB記憶デバイス、サイクエストから登場

 記憶デバイスの大容量化が進むなか、750メガバイト容量を実現するノマイの「750.c」、1ギガバイトの「Iomega Jaz」に対抗して、サイクエストでは「SparQ」を発表した。同製品は1ギガバイトのリムーバブル記憶デバイスで、ドライブは199ドルで販売され、カートリッジも1枚39ドル(3枚組で99ドル)と1枚129ドルのJazカートリッジより大幅に安い。同ドライブに7つのカートリッジを追加して8ギガバイトの記憶容量を確保した場合、コストは8.4ギガバイトのマクスター製ハードディスク・ドライブ「Diamond Max 2160」より61ドル安く、SCSI外付け型「Jaz」より652ドルも安くすむ計算になる。(1998年2月号)

アップルの新オンライン販売戦略

 あらゆる手段を使ってアップル製品の購入を簡単にするという流通戦略の再建を図るアップルでは、11月10日からオンラインでの製品販売を開始した。このサイト「The Apple Store」(http://store.apple.com/)は、営業開始からわずか12時間で 440万件のヒット数を達成し、総額50万ドル以上の売上を記録した。同サイトで製品を購入するユーザーは、BTO (受注組立方式) によりカスタム設定されたMacを購入でき、小売店では受けられないサービスが受けられる。今後発表される製品にはすべて BTO販売が適用され、これにより同社が長年悩まされ続けてきた在庫の過不足は解消すると見られている。しかし、危機感を募らせる小売業者との関係も考慮して、アップルは同サイトでの販売はすべて定価で行っている。 (1998年2月号)

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なぜ「Digital WaterMark」なのか?

文:長野弘子

デジタル画像とともに増え続ける著作権侵害 デジタル時代に突入しつつある現在、インターネットやCD-ROMで使用されているデジタル画像に対する著作権侵害が頻発している。マルチメディア、電子出版、また電子商取引などの爆発的増加にともない、増え続ける著作権の侵害に対して著作権所有者は頭を抱えている。なんとか画像の不正コピー防止対策を確立しなければ、今後のビジネスモデルに深刻な被害が出ることは明らかだ。不正コピーを防止すると同時に、不正コピーした画像を使用しているウェブサイトや雑誌を見つけだす方法はないのだろうか。

1.WaterMarkとは何か?

 こうした著作権侵害を防止する方法として、これまで暗号化やスクランブル技術といったものが利用されてきた。これは暗号鍵を持った人だけが画像を見ることができるというシステムで、課金システムとしては非常に優れている。しかし、暗号鍵を持った人が画像にアクセスし、それを不正コピーしてしまえば、その画像の著作権侵害はいとも簡単に行われてしまう。

 これに対して、著作権侵害を防止する効果的な方法として、現在の最有力候補にあげられているのが電子透かし技術だ。電子透かし技術とは、画質を落とすことなく画像のなかに著作権者のID情報を埋め込む技術で、これにより画像の著作権が明確になる。しかも、このID情報はどこに書かれているか分からないうえ、ID情報を取り去りにくい。たとえば、ID情報の埋め込まれた画像をウェブサイトから印刷して、それを再びスキャンしてもID情報がちゃんと残っているという仕組みになっている。

 また、暗号化やスクランブル技術と異なって、電子透かし技術が優れている点は、暗号鍵を持っていない人でも自由に画像を見れるということだ。それでいて、画像を不正コピーすることが非常に困難になる。なぜなら、もし埋め込んだID情報を無理矢理取り去ろうとすると、画質が劣化してその画像は使い物にならなくなってしまうからだ。また、自分のIDが付いている画像をウェブ上から自動的に探し出せるので、不正使用されている画像の発見がより容易くなり、不正コピーを抑えることができる。さらに、これとは逆にID情報を画像から検出するソフトウェアを使用して、気に入った画像の著作権所有者が誰かを調べることもできるのだ。


何が出来るのか?

 電子透かし技術を使用することの最大利点は、著作権所有者にとって一番重要な不正コピー防止を徹底させることができるという点にある。 また、検出ソフトウェアを使用すれば画像を見ている誰もが画像に埋め込まれたID情報から著作権所有者の名称や連絡先などの著作権情報を知ることができるので、著作権所有者にとっては自分の作品を宣伝する機会が増大することにもなる。たとえば、電子透かし技術を利用して写真を公開しているカメラマンに対して、出版社がその写真からカメラマンの情報を入手して連絡を取ることも可能。 具体的には、写真データベースの所有会社やカメラマンは料金を支払って、それと引き換えに6桁の数字からなる著作権所有者のID番号を得る。一方、ID情報を検出するソフトウェアは、誰でもID情報を検出できるよう無料で入手できる。これにより、ユーザーは写真に埋め込んであるID番号を検出し、ID番号に対応した著作権所有者を探し出すことができる。この方法を使用すれば、気に入った画像の著作権所有者を即座に見つけだし、画像の使用契約を結ぶこともできる。

2.著作権管理サービスのしくみ

著作権管理サービスとは

 電子透かし技術企業各社は、同技術を簡単に利用できるように包括的な著作権管理サービスを提供している。著作権管理サービスは、ID情報を画像に埋め込むソフトウェア、ID情報を画像から検出するソフトウェア、ID情報を管理するデータベースの 3つの組み合わせで成り立っている。

 著作権所有者は、これら管理サービスに登録しソフトウェアを入手することにより、著作権管理サービスの提供を受けることができる。大抵、ID情報を画像から検出するソフトウェアは無料で入手できるが、ID情報を画像に埋め込むソフトウェアは有料となる。ただし、Digimarc社の検出/埋め込みソフトウェア「PictureMarc」などは AdobePhotoShop4.0に標準搭載されている。また、ID情報管理データベースへの登録は、年間平均100-150ドルほどかかる。これにより登録者の情報は、検出ソフトウェアで検出した画像IDを用いてデータベース・アクセスを行ったユーザーに伝えられる。


各社サービスの違い

 電子透かし技術の著作権管理サービスは、各社により若干異なる。アメリカでは現在35種類ほどあると言われている電子透かし技術だが、その代表的な会社は Digimarc、HighWater、NEC Research Institute、またFraunhofer CRCG社の4社となる。各社の電子透かし技術や同サービスの違いは一体どういったものなのだろう。


DigimarcとHighWater社

 両社のサービスは基本的に、検出用のソフトウェアを持っていれば誰でもID情報を検出し著作権情報を得ることができるというものだ。 まず、HighWater社は、著作権所有者のID番号と画像データのID番号という2つのID番号を使用する。この2つのID番号管理により、著作権所有者は使用する出版社によって異なるIDを渡すことができる。このシステムを使えば、不正コピーを見つけたときにどの出版社に与えた権利かを調べることで、流通経路を割り出すことができるのだ。

 一方、Digimarc社も同様に、著作権所有者のID番号と画像データのID番号という2つのID番号を使用し、HighWater社と同等のサービスを提供している。さらに同社では、ID番号が入った画像をウェブサイトのなかから検索し、著作権所有者に知らせるエージェント「MarcSpider」を提供している。これにより、著作権所有者は自分の画像がどこで使用されているかを容易にチェックできるようになる。しかし現在のところ、不正コピーのみを自動的に検索するエージェントは開発されていない。

 また、Digimarc社は誰でも著作権所有者の情報を自由に得られるような「著作権通信」を実現するため、著作権所有者のID番号を誰にでも知らせることができるといったシステムを採用している。しかし、将来的には鍵データを持ったユーザのみがID番号を検出するシステムも導入する予定。


NEC Research InstituteとFraunhofer CRCG社

 これに対してNECとCRCG社では、インターネットでの画像データの売買を重視したシステムを構築している。まず、DigimarcやHighWater社のように2つのID番号を使うシステムでは、使用した出版社によって違うIDを渡すことにより、見比べればどこに IDを埋め込んだのかが分かってしまう可能性があるという大きな問題がある。このため、NECとCRCG社では鍵データを使用する。具体的には、ID番号を検出するための鍵データを使って、鍵ユーザだけがID番号を検出できるように制限を加えるようにしたもの。

 CRCG社では、画像データのID番号、著作権所有者の情報のID番号、また画像を使用している出版社のID番号という3つのID情報を利用している。このうち画像データの ID番号は、WWWブラウザで画像を表示すると、画像データの下部に自動的に表示される。一方、著作権所有者の情報のID番号、画像を使用している出版社のID番号は、著作権所有者だけしか読み出せないようになっている。これにより、一般ユーザは画像データのID番号にしかアクセスできないので、どこにIDを埋め込んだのかが判別される可能性は低くなる。


各社の動向

●米Digimarc Corp.(http://www.digimarc.com)ソフトウェア「PictureMarc」を開発
AdobePhotoShop4.0では、PictureMarc Plug-inが標準搭載
Micrografx Graphics Suite 2.0、Webtricity 1.0 にも標準搭載
Corel Paint 7.0、Corel Draw 7.0にも標準搭載
WordPerfect、Office Pro 8.0にも標準搭載予定

●英HighWaterSignum Ltd.(http://www.highwaterfbi.com)ソフトウェア「FBI Pro」を開発
AdobePhotoShopプラグイン「FBI Pro」は、395ドルで1万件のコード作成可能。
スタンドアロン「FBI Pro」は1795ドルで5万件のコード作成可能。
英国通信事業者のBT社、英国放送事業者のBBC社がインターネットのホームページなどで使用中。
また、ビルゲイツが設立した美術品のデジタル化を行う会社Corbis社も、美術品データの著作権保護に、この電子透かし技術を使う模様

●米Fraunhofer CRCG(Center for Research Computer Graphics) Inc. (http://www.crcg.com)
ソフトウェア「SysCoP」を開発
AdobePhotoShop、Navigatorに「SysCoP」プラグイン搭載予定

●米NEC Research Institute, Inc.(http://www.neci.nj.nec.com/)ソフトウェア「TigerMark Image DataBlade」を開発
Informix Universal Serverに標準搭載

どうやってIDを埋め込んでるのか?PhotoShop4.0で使ってみる。

Digimarc社の著作権管理サービスへの登録

 では、実際にDigimarc社の著作権管理サービスへの登録を行ってみよう。同社ホームページに行き、「Obtain Your Own Creator ID」をクリックする。ここで、年間料金99ドルか無料トライアルのどちらかを選択できる。無料トライアルを選択すると、次のページでは Photoshopィ 4.0のユーザーかMicrografx Graphics Suiteェ 2.0、 Webtricityェ 1.0 のユーザーかを選択する。ここでPhotoshopィ 4.0を選択すると、登録に関しての注意書きのページに行くので、「I accept」をクリックするとID登録画面に行く。必要事項をすべて書き込みクリックすると、登録完了画面に行き着く。

ID情報を埋め込む

 では、実際にID情報を埋め込んでみよう。Photoshopィ 4.0で編集した画像を開き、ファインダーの「Filter」にあるDigimarcに行き「Embed Watermark」を選ぶ。すると、「Embed Watermark」用のウィンドウが開く。ここでは、電子透かしの耐久度も選択できる。もし耐久性を重視したければ4段階の4を選べばよいが、その分ID情報が見つかりやすくなるという欠点もある。「OK」をクリックすれば画像に自動的に ID情報が埋め込まれる。ID情報を埋め込んだ後の画像は、埋め込み前の画像とは見たところまったく変化がない。


ID情報を取り出す

 次に、ID情報を取り出してみよう。ID情報が埋め込まれた画像は、レタッチ、圧縮、または印刷されたあとでもそのID情報が消えることはない。 さきほどのID情報を埋め込んだ後の画像を開き、ファインダーの「Filter」にある Digimarcに行き「Read Watermark」を選ぶ。すると「透かしの情報」というウィンドウが開いて、画像ID、また著作権所有者の住所や電話番号などの情報が含まれた同社サイトのURLアドレスが表示される。もし画像にID情報が埋め込まれていない場合には「透かしは使用されていません」というウィンドウが現れる。


Digimarc社へ著作権情報を問い合わせる

 先ほどの「透かしの情報」ウィンドウに表示されている画像IDを控えておけば、同社サイトの画像IDによる検索サイトから著作権所有者の情報にアクセスできる。また、このサイトには「General Search」の項目もあり、企業名や名前から著作権所有者の情報を割り出すこともできるのだ。

 また、自分の画像がどのウェブサイトに使用されているかを検索して知らせてくれる「MarcSpider」エージェントも利用できる。Digimarc社の「MarcCentre」メンバー・サイトに行き、画像IDとパスワードを入力すれば、MarcSpiderサービス検索結果が得られる。ただし、このサービスは無料トライアルの場合は利用できない。(1997年12月号)

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PNG画像ファイルフォーマット

文:長野弘子

 インターネット人口の増加にしたがいWebの遅さに苛立つ人口も増加しているが、その元凶となっているのが巨大なデータ量を必要とする画像ファイルだ。現在、その Web画像フォーマットが大きく変貌を遂げつつあり、GIFに代わる次世代画像フォーマットといわれるPNG(Portable Network Graphics、発音:ピング)が注目を集めている。GIFの抱える法的問題が直接的な契機となって生まれたPNGは、圧縮技術やインターレース表示などでGIFより優れており、最終的にはGIFに代わるフォーマットとして定着すると予想されている。

 複数画像のサポートを除いてGIFの特徴をすべて兼ね備え、しかも1つのビットマップ画像を劣化しないように保存するとされるPNGフォーマットは、具体的にどの程度 GIFより優れているのだろうか。また、PNGは将来的にWebブラウザのプラグインとして採用され、業界スタンダートとしての地位を確立することができるのだろうか。 PNG技術の比較解析および今後の展開を検証する。


GIFが使えなくなる?
 現在幅広く普及しているGIFフォーマットに代わる画像フォーマットとして設計されたPNGの歴史は、GIF圧縮技術の生まれた1977年前後へとさかのぼる。1977年、 Jacob Ziv、Abraham Lempelという2人のイスラエル人研究者が、新しいデータ圧縮アルゴリズム「LZ77」および「LZ78」を発表した。その数年後の1983年、のちに Burroughsと合併してユニシスとなるSperryのTerry Welchが「LZ78」を応用した高速圧縮アルゴリズム「LZW」を開発し、1985年に同技術の特許を取得している。その後、コンプサーブのBob Berryが1987年に、この圧縮方法を使用してGIF(Graphics Interchange Format)を開発している。

 当初、ユニシスはLZWアルゴリズムをオープン規格とし、LZW使用に関するロイヤルティを一切求めなかった。しかし、財政難に陥った同社は1994年末、ロイヤルティを請求する方策に踏み切った。GIFはそれ以前にもフォーマット上の不備な点がいくつか指摘されていたが、この法的問題が直接的な契機となり、より優れた新しい代替フォーマットを開発する非公式のインターネット団体が結成された。同団体にはコンプサーブやW3Cなどで働く研究者なども多数参加しており、1995年1月4日、同団体主催者のThomas Boutellが新フォーマット「PBF」を発表した。この改良バージョンが、現在のPNGである。


PNGの特徴

1.圧縮

 圧縮アルゴリズムは、一般的なファイル圧縮ユーティリティのPKzipを採用しているのでライセンスフリー。また、PKzipで使用されているLZ77圧縮アルゴリズムで圧縮されたzlibフォーマットは、圧縮率がGIFより10−30%大きいうえに画像の劣化がない。LZ77方式は、LZWアルゴリズムと同様の機能を持っている。さらに、圧縮を強化するため、圧縮する前に画像にフィルタをかけることができる。

2.色数

 RGB、インデックスカラー、グレースケールをサポートしている。RGBの場合、1ピクセルあたり16bit、合計48bitまでの色数をサポートする。 グレースケールでは最高16bit、またインデックスカラーの場合、GIFと同様の8bitまでのパレットをサポートする。

3.透過

 画像の透過モード指定には、1色マスキングとアルファチャンネルという2種の方式を用いることができる。1色マスキングはGIFと同様に透過色を指定するやり方で、もう1つは画像データにアルファチャンネル加える方法。アルファチャンネルを使用すれば、完全透明(0)から完全表示(255)まで画像の各ピクセルごとに透過度が指定でき、1ピクセルあたり64KBの透明度管理が可能となる。これにより1つの画像に複数の透明度の画像を持たせることができ、美しいグローシャドーやドロップシャドーなどの表現も可能になる。

4.ガンマ補正

 複数のプラットフォームのためにガンマ補正のパラメーターを画像に持たせられる。ガンマ値が小さくなると画像は全体的にコントラストの低い明るい画像に、 ガンマ値が大きくなるとコントラストの高い暗めの画像になる。モニタのガンマ値は Macintosh機では1.8に、Windows機では2.2に設定されることが多いので、Macintosh用の画像をWindows機でみるとコントラストの高い暗めの画像になる。こうした場合、モニタのガンマ値を1.2の逆数である0.83に調整することで、基本的な色調の補正が可能となる。

5.表示の仕方

 インターレース表示ができる。その方式は、インターレースGIFよりも格段に早く人間の目に認識される画像を表示する7パス・インターレース機構(Adam7方式)を採用している。インターレースGIFでは、画像を認識するまでに50%の読み込みを必要とするが、PNGでは20-30%の受信時点で画像を認識できる。

6.テキスト  付随データとして、画像にテキストデータを組み込むことができる。画像タイトル、作者、説明、著作権、制作日、制作時間、制作ソフトウエアなどの規定されたキーワード以外にも、任意のキーワードを使用して独自のテキストを含めることもできる。 7.アニメーション

 現在は単一画像のフォーマットとしてのみ規定されており、基本的に複数画像のサポートはしない。しかし、拡張性のある柔軟なフォーマットなので、アプリケーションのサポート次第で複数の画像を含める拡張も可能。これにより、アニメーション GIFと同様の機能が実現できる。

8bitパレット対決(GIF対PNG)
24bit対決(JPEG、PNG)
48bit対決(TIFF、PNG)


PNGの現状と今後の戦略

 今後の次世代Web画像フォーマットとして期待されているPNGは、水平パターンのみではなく、GIFにはない垂直パターンのためのフィルタリングも行い、色選択、色数削減、ヒストグラム調整により濃淡の少ない画像で最高の機能を発揮する。また、 GIFと比べて圧縮率が著しく小さいうえ特許権に抵触しないことから、GIFに代わる標準となるのは今後数年以内だと考えられている。

 一方、圧縮率の高い劣化型の画像フォーマットであるJPEGに対しては、現在PNGの全体設計と技術をもとにしたフォーマットであるPNP(Portable Network Photograph、発音:ピンナップ)の開発が進められている。PNPは、JPEGに代わる標準となることが予想されている。

 今後広く求められるWeb画像フォーマットの特徴としては、画質の低下なしに画像をいかに小さなファイルに収められるか、また、いかに迅速に画像のロードができ、歪みのない効果的な画像を作成できるかという点が決め手となってくる。 こうした特徴を兼ね備えるPNG以外のフォーマットとしては、数学理論を応用したフラクタル画像圧縮のFIF (Fractal Image Format) 、またEastman Kodak、HP、Live Picture、Microsoftが共同開発したFlashPixなどがあげられる。

 ピクセルを使用せず数学的に画像を符号化するFIFは、解像度に依存しないため高画質を維持しながら高レベルの圧縮を可能にし、ビットマップ・タイプと比較して 100倍近い縮小が可能になるといわれている。現在発売されているWeb対応のフラクタル製品は、Iterated Systemsからの製品のみとなっている。

 また、万能型ファイル・フォーマットのFlashPixも注目を集める新しい画像フォーマットだ。これは、複数の画像管理や解像度調整をサポートするもので、キャリブレートRGBとPhoto YCCをサポートしている。

 こうした開発中の新しい画像フォーマットが、Webの世界で画像革命を引き起こしつつある。今後数年以内には、これらのいずれかが特許問題のあるGIFや旧型画像フォーマットのJPEGにとって代わることになるのは確実だろう。PNGに関しては、今年中にはNavigatorやExplorerでもサポートされると予想されているが、将来的にはブラウザに組み込まれ、Webの画像フォーマット標準となる可能性が高い。(1998年1月号)

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PCから見たデジタルカメラとは?

文:長野弘子

 現在、著しい進化を遂げているデジタルカメラだが、 日本のカメラメーカーを中心としたデジタルカメラの開発に対抗するかのように、最近パソコン側から統一企画案が出された。デジタルカメラをパソコンの周辺機器か、それともカメラの進化として捉えるかという問題は、パソコン界を牛耳るアメリカと、世界のカメラ市場のシェアを80%占めている日本との規格競争の問題とも捉えられる。 今回提案されたインテルの「Portable PC Camera '98 Design Guideline」は、誰でも簡単に簡単に画像操作ができ、かつ低コストなPentium IIベース・パソコンに対応したデジタルカメラを容易に開発できるというものだ。同ガイドラインは、静止画の撮影から処理加工、保存、共有、およびパソコンとの接続にいたるまでのカメラの設計要綱が包括的にまとめられている。今回、ヒューレット・パッカード、イーストマン・コダック、マイクロソフトなどを始めとする20数社が支持を表明している同ガイドラインの全貌を探る。


Intel Portable PC Camera '98 Design Guideline
 デジタルカメラの普及が進むにしたがって、パソコンとの接続方法やファイル形式、各種ドライバの設定の相違により、ユーザが撮影した画像データをパソコンへ取り込んだり加工する作業が簡単にできないといった問題が急増している。インテルは、プラットフォームの条件、接続性および相互運用性などの仕様の統一規格を提案することで、パソコンとデジタルカメラの接続性を保ち、こうした問題を解決することを図っている。

 現在、パソコン上での静止画の利用は急速に普及しており、将来的には、家庭およびビジネス市場で現在の電子メールと同程度の普及率を達成するものと予想されている。それと同時に、MMXテクノロジを搭載したPentiumプロセッサやPentiumIIプロセッサ・ベースの高性能なプラットフォームも浸透しつつあり、これらのプラットフォームとデジタルカメラとの接続性は急務とされている。インテルでは、こうした次世代コンピューティングの世界の到来に備えて、同ガイドラインに準拠することで、デジタルカメラと高性能パソコンの統合を速やかに実現しリアルタイムでのインタラクティブな静止画の利用を可能にするとしている。


規格内容
 同ガイドラインには、デジタルカメラの設計に関する規定、画像ファイルフォーマットの規定、記憶メディアの規定に加え、デジタルカメラがパソコン上で優れた動作性能を提供するためのパソコンの規定やパソコンへの接続方法の規定が含まれている。

 まず、デジタルカメラの設計に関する規定には、768×576ピクセルの画像解像度、屋内/屋外の撮影、1670万色のカラー表示画像(24ビット) 、フラッシュ撮影時に撮影終了後10秒以内に次の撮影ができること、消費電力、バッテリ寿命などがあげられる。

 次に、画像ファイルフォーマットの規定には、インターネットや各種のアプリケーション間で画像データを交換する際に、画質の劣化を防ぐFlashPixファイル形式を使用することがあげられる。同ファイル形式は、ライブピクチャー、ヒューレット・パッカード、イーストマン・コダック、マイクロソフトの4社により共同開発され、次世代の標準グラフィック・フォーマットとして有力視されている。

 また、記憶メディアの規定には、フラッシュEEPROMを搭載したメモリ・カードを使用することがあげられる。フラッシュメモリ・カードは、高い信頼性があり、低価格でしかも着脱および再利用が可能な電子フィルムであり、インテルからも同カード「Flash Memory MiniatureCard」が発表されている。

 さらに、パソコンの規定には、MMX対応PentiumもしくはPentium IIのプラットフォームを使用することがあげられる。これにより、パソコンでの画像データの処理および加工を高速化できるとインテルでは説明している。パソコンへの接続方法の規定には、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)ポートに準拠することがあげられる。これにより、パソコンとデジタルカメラの間で各種機能を自動認識、自動設定し、接続するだけでデジタルカメラが利用できるようになる。なお、オプションで IEEE 1394対応もある。


DIGの結成
 Digital Imaging Group(DIG)は、おもにオンラインDEPを対象に、さまざまなベンダーの製品間の伝達をより高度にし、オンライン上での画像のやり取りを容易にする仕様を策定する目的で設立された。このフォーラムにはアドビシステムズ、キヤノン、イーストマン・コダック、富士写真フイルム、ヒューレット・パッカード、 IBM、インテル、ライブピクチャー、マイクロソフトなど、コンピュータとイメージング分野の有力ベンダー9社が参加している。

 DIGでは、既存のフィルムやデジタル技術を活用できる将来の画像プラットフォームを、次世代ファイル・フォーマットの「FlashPix」や「Internet Imaging Protocol(IIP)」へ組み込むことを計画している。IIPとは、インターネットでの画像転送を高速に行うマルチベンダー・クロス・プラットホーム対応のクライアント/サーバ・プロトコル。将来の接続技術と呼ばれるFlashPixとIIPは、現在、各種の画像ツールやオンラインサービスで使用され、将来の写真画質の3Dアプリケーションの標準になると予想されている。

 インテルのPC GuidelineもまたFlashPixをサポートしており、DIG設立により、パソコンメーカー側とカメラおよびフィルムメーカー側との歩み寄りの姿勢が一層明らかになってきたといえる。参加企業の富士写真フイルムも、従来のデジタルカメラ用ファイルフォーマットのExifからFlashPixをサポートする方向に転換しつつあるなど、業界を越えた規格統一の動きが起こりつつある。


今後の展開
 インテルでは、ガイドラインに準拠したデジタルカメラの開発を簡単に行うための制作キット「Intel 971 PC Camera Kit」を発売している。まず、画像取り込みには一般的なCCDではなく、インテルが開発した低コストなCMOSセンサを使っていることが大きな特徴だ。また、同キットには、CMOSセンサとDRAMメモリ、カメラI/O回路とのインターフェイスである画像処理ユニット、FlashPixファイル形式への変換もできるPC画像処理ソフトウエアなども含まれている。

 これを利用したデジタルカメラは、画像解像度、カラー表示などがガイドラインに準拠しているうえ、PCから切り離してデジタルカメラとしても利用でき、また、USB経由でPCに接続してデジタルビデオカメラとしても利用できる。さらに、マイクロソフト社の「PictureIt!」などの画像ソフトウエアにも対応している。

 これにより、弱小メーカーでもデジタルカメラの制作が可能になり、今後続々と低価格なインテルのキットを使った製品が出てくるものと思われる。インテルでは、今後のコンピュータの流れともなるビジュアル・コンピューティングの世界で小さな企業による大企業同様のビジネス展開を可能にし、効率的にビジネスチャンスを創出することを目指している。実際に、Aztech Systems社、Lite-On Technology社および Samsung AerospaceIndustries社の3社が同キットを使用したデジタルカメラの製造を現在計画している。

 現在、日本では、デジタルカメラの記憶メディアに「スマートメディア」、ファイルフォーマットに「Exifフォーマット」を主に使用しているが、インテルのガイドラインやDIGの結成によりこの流れが大きく変わるものと見られている。今後は、インテルの推奨する同社製品の「MiniatureCard」、またファイルフォーマットに FlashPixを使用した製品が日本でも増加すると予想される。

 また、オンラインDEP分野でも、DIGでFlashPixとIIPをサポートすることにより、 FlashPixが同分野の標準フォーマットになることはほぼ確実だといえる。DIGには日本の富士フイルムやキヤノンなども名を連ねており、将来的には日本のオンライン DEPもFlashPixを標準フォーマットとして採用する方向にある。今後、ますます規格統一が進むビジュアル・コンピューティングの世界だが、これらの日本企業の対応が、パソコン界を牛耳るアメリカと、カメラ界を牛耳る日本との規格競争の勝利の鍵を握ることになりそうだ。(1998年2月号)

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