July 16, 2005
Web Master 完全ガイド Vol.1
インプレスのムック本「Web Master 完全ガイド Vol.1」が出た。以前、「インターネットマガジン」向けに書いたグーグルのマキシマイザー、マックス・アードスタイン氏の取材記事が再掲載されている。
内容はなかなかまとまっているので、持っていても損はないだろう。表紙はちょっとアレだが、、、。
May 27, 2004
November 09, 2003
August 29, 2003
本格稼働を目前にもう一度おさらいしよう「住基ネットと電子自治体の実態」
+++ iNTERNET magazine 2003.09 +++
text:長野弘子
「住基ネット」はどんなものかおさらいしてみよう。
全国規模の住民票のデータベース
現在の市区町村にある住民票システムは戦後に作られたものです。基盤となる住民基本台帳には16の情報が記載され、選挙や国民保険、国民年金などのさまざまな場面で利用されています。この住民票のシステムは、99年までにはほぼ全国の市区町村で電算化が進みました。そこで使われるデジタルデータはあくまで市区町村内のみでやりとりされ、スタンドアローンなシステム上にあったのです。
一方、政府は、住民に対するサービスの向上、手続きの簡素化、国・地方の行政改革を行うという目的で、各市区町村で独立していた住民票システムをすべてつなげる計画をたてました。それが『住基ネット』(住民基本台帳ネットワーク)というわけです。
「住民票の写しがいらない」がうたい文句
では一体、この住基ネットで実際にはどんなことができるのでしょうか?
:
etc...
『インターネットマガジン』9月号で、住基ネットに関して6ページの記事を書きました。最初のほうは、住基カードの仕組み、それと公的個人認証システムのつながりをよく理解していなかったので、プライバシー/セキュリティの専門家であるGosuke Takamaさんにはお世話になりました。編集のNSDXさんには、分かりにくい原稿でちょっと迷惑をかけてしまったけど、総務省の話を聞いたりと、なかなか面白い取材でした。
June 02, 2003
MEDIA MIX
+++ iNTERNET magazine 2003.07 +++
text:長野弘子
◆『フリーソフトウェアと自由な社会』(リチャード・ストールマン著)
コピーレフトから知的財産権の問題まで
フリーソフトウェア運動の思想を網羅した哲学書
「私たちの時代にも、哲学者がいる。彼は芸術家ではなく、職業的な作家でもない。彼はプログラマである」---スタンフォード・ロースクールのローレンス・レッシグ法学教授は、リチャード・ストールマンのことをこう表現する。フリーソフトウェア運動の生みの親であるストールマンは、UNIXの代替OSとしてGNUシステムの開発に着手し、新たな著作権のコンセプトである「コピーレフト」やライセンス方式の『GNU GPL』を生み出したことでも知られている。本書は、プログラミングやコンピューター技術に関する本ではまったくない。むしろ、フリーソフトウェアの思想を表明するマニフェストであり、デジタル著作権を強化するための強引な政策を押し進める政府や企業に対して、私たちに何ができるか、私たちは何をすべきかについて書かれた、サバイバルの哲学書である。
ストールマンが本書で強調している点のひとつに、フリーソフトウェア運動とは個人が自由にプログラムを改変・再配布することにより、他者を助け、よりよい共同体を作ることだという主張がある。技術的な発展を重視するオープンソース運動とは、目的が大きく異なっている。Linuxカーネルが組み込まれたGNUシステムで、現在では一般的にLinuxと呼ばれているOSに対して、ストールマンがこれを『GNU/Linux』と呼ぼうと提唱しているのは、自由、コミュニティ、原則の思想というフリーソフトウェアの根底にある哲学を消滅させないためである。
著作権という名のもとにソースコードが隠蔽され、音楽CDのコピーが取り締まりの対象になっている現在、自由を守るための戦いはより激しさを増している。本書に収められた未来小説(月面革命の先人たちの論文を集めた『ティコへの道』)では、人々が自由に本を借りて読む権利を奪われた2096年の地球の様子が描かれている。本の1冊1冊には著作権モニターがつけられ、いつどこで誰が読んだかは中央ライセンス局に報告され、”海賊行為”として取り締まりを受ける。恐ろしいのは、この小説が単なるフィクションではなく、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)やソフトウェア業界団体の圧力により、似たような状況が起きていることだ。コピー防止機能を取り除く技術を違法と定めるDMCAにより、これまでロシア人技術者が逮捕され、プリンストン大学教授が研究を発表できないような法的圧力を受けている。
こうした状況に対してストールマンは、著作権は作者がもともと持っている自然権ではなく、市民に有益な情報が提供されるように便宜上作られたものであり、時代の変化とともに柔軟に変わるべき概念であるとする。その結果、出されたひとつの答えが『GNU GPL』だ。GPLは、パブリックドメインではなく既存の著作権システムを使いながら、著作権者の権限を制限し、ユーザー側の自由を大幅に増大させる巧妙なライセンス方式である。
日本政府は、”国際競争”に打ち勝つために”知的財産権”の強化に本腰を入れようとしているが、取材のなかでストールマンは「知的財産権という言葉は著作権、特許権、商標権などのまったく異なるコンセプトをひとまとめに語るナンセンスな言葉で、この言葉を使っての”知的”な会話はできなくなる」と語った。
ほかにも、ソフトウェア特許やプロプライエタリー・ソフトへの全面反対など、彼の思想は非常にラディカルだと感じるものが多い。しかし、本書を実際に読み進めていくと、その思想はきわめて論理的であり、逆に時代が彼に追いつくまでに時間がかかるだろうと思わずにはいられない。フリーソフトウェア/オープンソースに直接関わる人でなくとも、デジタル時代を生き抜くための新しい価値観を提唱した哲学書として、ぜひ読んでほしい。
◆オープンソース運動のドキュメンタリー映画『REVOLUTION OS』
マイクロソフト全盛期の水面下で始まった
フリーソフトウェア/オープンソース運動を克明に描く
マイクロソフトがPC市場で独占的な勢力へと突き進んで行った90年代、新たな動きが水面下で始まっていた。それが、プログラマーのゆるやかなネットワークを基盤としたオープンソース運動だ。この映画は、フリーソフトウェア運動がオープンソースへと受け継がれ、『GNU/Linux』が独自の発展を遂げていく過程を克明に描いたオープンソース・コミュニティのインサイドストーリーである。以前、ソフトウェアは開発者を意識することなしに、自由にやり取りされていた。しかし、1976年1月、マイクロソフトの若きCEOであるビル・ゲイツが「手作りコンピューター・クラブ」のニュースレターで、プロプライエタリー・ソフトという新しい挑戦状を、ホビイストたちにつきつけた。それから、マイクロソフトとGNU/Linuxの長い戦いが始まったのだ。
リチャード・ストールマン、リーナス・トーバルズ(Linuxカーネル作者)、エリック・レイモンド(『伽藍とバザール』著者)、ブルース・ぺレンズ(『オープンソース定義』作者)、ロブ・マルダ(『スラッシュドット』設立者)ほか、多くの関係者の証言をもとに、フリーソフトウェアおよびオープンソース運動が生まれたきっかけ、ウェブサーバー『Apache』などのキラーアプリ、レッドハットほかディストリビューター、主要なデータベース・ベンダーによる支援、強力なユーザーグループ、『Windows』OSに対するゲリラ的払い戻し運動など、GNU/Linuxがビジネス市場において急速な成長を遂げた数々の要因を取り上げている。
とくに、GNU/Linuxを急速に普及させるために、フリーソフトウェアという名称をオープンソースへ変更したときのエピソードが興味深い。映画のなかで、エリック・レイモンドは「当時、もし企業の幹部に会いに行って、”フリーソフトウェア”などと口にしようものなら、運がよければ『うーむそうだな、フリーソフトウェアというのは安物で役立たずのインチキソフトのことかね』という返事が返ってきた。だけど、運が悪ければ、フリーソフトウェア財団による知的財産権への攻撃と混同され、企業はまったく耳をかさなかったよ」と回想する。フリーソフトウェアに代わる新たな用語は、企業が受け入れやすい名称を第一に考えられたのだ。
もちろん「フリー=無料」と誤解を受けやすいフリーソフトウェアと比べて、オープンソースという言葉がGNU/Linuxの普及に大きく貢献したのは否めないが、同時に、フリーソフトウェアとオープンソース・コミュニティに微妙なずれが生じることにもつながった。映画のなかで、ストールマンとトーバルズがGNU/Linuxの名称をめぐって見せた意見の食い違いもそうだが、ごく最近もまた、両者の方向性の違いが明らかになるニュースが流れた。
メーリングリスト「Linux-kernel」で、4月24日、トーバルズがデジタル権管理(DRM)技術をカーネルに導入することを容認する内容の投稿を行い、激しい論議が巻き起こったのだ。ストールマンは、DRMのことを、ユーザーに制限を加えるために存在する「デジタル制限管理」であると批判しており、プログラマーの多くもDRMに反対している。
急速に膨れ上がったオープンソース・コミュニティで、今後の方向性をいかに決定するのか、またトーバルズはどこまで支配力を持つのか、将来オープンソース・コミュニティが向かう方向がいま問われている。
◆『SourceForge.net』
http://www.sourceforge.net
http://sourceforge.jp/
「あなたの力で世界を変えてみませんか?」
オープンソース・ソフトの利点は、『オープンソース定義』にもあるように、自由にソースコードを改変し、改変したプログラムを同じ条件のもとで再配布できることだ。現在、無数のオープンソース・ソフト開発プロジェクトが進行しているが、これらの開発プロジェクトを一箇所にまとめて提供しているのが『SourceForge.net』である。同サイトは、世界最大のオープンソースソフトの開発およびダウンロードサイトであり、現在、62万人以上の登録ユーザーが、6万件を超えるオープンソースソフト開発プロジェクトに関わっている。
このサイトがユニークな点は、オープンソースの開発者のためのデータ・リポジトリーやBBSといったメディア的な側面だけではなく、プロジェクト管理者のための管理ツールも提供しており、プログラマー同士が実際にコラボレーションできる開発環境を実現している点だ。プログラマーは、ソースコードのアップロード/ダウンロードのほか、特定プロジェクトのディスカッションの自動モニタリングも行える。さらに、このコラボレーションツ・ツール自体も、同サイトの開発プロジェクトの1つとして開発・改良が続けられている。
また、プログラマーでない人でも、必要なツールをダウンロードして楽しめるほか、ダウンロード人気ランキングをチェックすると、音楽CDからオーディオデータをコピーするためのツール『CDex』など、注目のソフトやプロジェクト分野を知ることができる。
日本でも、2002年4月19日から正式に『SourceForge.jp』の運用が開始されている。現在のところ登録ユーザー数はおよそ5千人、登録プロジェクト数は約500件。
◆『タッチグラフ』
http://www.touchgraph.com/
ウェブの世界の関係性をリアルタイムでグラフ化
多くの開発プロジェクトを抱える『SourceForge.net』からは面白い試みが次々と生まれているが、Javaベースのグラフ自動生成ツールの『タッチグラフ』もその1つである。同サイトでは、文字のリストではなくグラフィックベースでデータを閲覧できる環境を実現するため、サイト同士の関係性をリアルタイムにグラフ化する技術をオープンソース形式で開発している。
たとえば、検索エンジンのグーグルは同社の検索データベースを開放して、他社が自由にデータを利用してもらうサービスを提供しているが、タッチグラフはこれを利用し、『グーグル・リレイティッド』(www.touchgraph.com/TGGoogleBrowser.html)という検索ツールを開発した。ここでは、通常のグーグルのように重要度で検索結果が表示されるのではなく、各サイトがどのように関連しあっているかという観点から、グラフ表示される。
グラフ上に表示される赤いタグは現在リンクが貼られているサイトで、緑のタグは過去にリンクが貼られていたサイトを示している。また、中心サイトからどの段階のホップまで表示するかを選ぶことができるほか、ノードにマウスオーバーすると文書サマリーを表示してくれる。
ほかにも、ブロッグの”ご近所さん”を調べてくれる『ブロッグストリート』(http://www.blogstreet.com)が、ブロッグ同士の関係をネットワーク図式化するのに、アマゾン・コムで書籍の関係性をグラフ化するために、タッチグラフを使用している。
◆オープンソースの書籍『ブルース・ぺレンズ・オープンソース・シリーズ』
http://perens.com/Photos/Books/Massa.pdf
書籍版は有料、ネット版は無料ダウンロード
ネット版では読者からの意見を反映し、コンテンツを変更
フリーソフトウェア/オープンソースの概念は、ソフトウェア分野だけではなく、書籍や音楽などありとあらゆるコンテンツへと影響を与え始めている。技術書と学術書の出版社であるパレンティスホールは、オープンソースの概念を書籍出版に取り入れ、コンテンツの自由な配布を認める新たな書籍シリーズを発行している。
『Debian Linux』の開発を支援した人物で、オープンソース・イニシアチブ(OSI)の共同創設者としても知られるブルース・ぺレンズの名を冠した同書籍シリーズは、「オープン・パブリケーション・ライセンス」 (www.opencontent.org) のもとで、複製やアップデートが認められるほか、書籍(有料)が書店の店頭に並んだ数カ月後に、ネットでまったく同じ内容のコンテンツを無料配付することになる。また、書籍版、ネット版のどちらも自由にコピーができる。さらにネット上のコンテンツは頻繁にアップデートされ、著者は読者からの意見を反映して編集することができる。これまでに無線デバイス向けオープンソースOS『eCos』開発に関する書籍など、合計5冊が同シリーズの書籍として出版されている。
メディア企業の多くが、売上低迷を理由に自社コンテンツを厳しく管理し、違法コピーに神経を尖らせているなか、同社がオープンソース方式のコンテンツ配付を試みたのはなぜだろうか?同社は、「オープンソース向けの書籍を多数販売していることから、コミュニティに貢献したいため」としているが、それと同時に、無料ダウンロードにより読者層を広げることで、ネット版だけではない書籍版の売上にもつながることを見込んでいるのだろうか。
ローレンス・レッシグ教授が率いる「クリエイティブ・コモンズ」、またオライリー・アソシエーツも一部書籍をオープンソース出版するなど、オープンソース・コンテンツの動きが次第に広がりつつあるが、オープンソース書籍販売の試みとして、パレンティスホールの成功に期待したい。
(注)2000年12月4日、ブルース・ぺレンズはヒューレット・パッカード(HP)のLinux/オープンソースソフト上級戦略家に就任した。2002年7月、オープンソース会議でDVDプレーヤーのコピー防止技術を回避する方法を披露する計画を立てていた同氏に対して、HPからの要請でその計画を断念させられ、2カ月後の9月に同社を去った。
◆『オープン・ディレクトリー・プロジェクト(ODP)』
http://dmoz.org/
オープンソース方式の世界最大ディレクトリー
ウェブのオックスフォード英語大辞典を目指す
世界中からボランティアで集まった編集者たちの手で作られたウェブ・ディレクトリー『ODP』は、オープンソース方式で開設された世界最大のディレクトリーである。昔のオープンソース運動と称されるオックスフォード英語大辞典は、大勢のボランティア編集者の強力により編纂が完成したが、ODPはウェブのオックスフォード編纂と言ったところか。現在、カテゴリー数は約46万種類、サイト数は380万を超えている。
ODPでは独自の無償使用ライセンス方式を用いており、ディレクトリーへの登録はもちろん、ディレクトリーの使用もすべて無料であり、企業・個人に限らず誰でも利用できる。現在、グーグル、AOL、ライコス、ネットスケープ、ディレクトヒット、ホットボットほか多数がODPを利用している。
この巨大ディレクトリーの構築は、ヤフーのデッドリンクに嫌気がさしたカリフォルニア在住のプログラマー、リッチ・スクレンタの呼びかけから始まった。1998年6月5日に開設されたサイトは、2週間で200人の編集者を集め、2000カテゴリーにわたる2万7000サイトを集めることに成功した。現在、編集者は約5万7000人にのぼっている。また、フィードバック機能もあり、どうしても問題のある編集者は連絡を受ける仕組みにもなっている。
オープンソース形式でのプログラムやコンテンツ開発に関しては、責任の所在がはっきりせずに質の高いものが生まれにくいと、よく批判されるが、ヤフーのウェブサーファー数百人が一日中働くより、自発的に集まった編集者が得意分野を担当したほうが質の高いディレクトリーが完成することを、ODPは証明したと言える。
◆『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki
「ページの編集は大胆に!」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ひとつの巨大な百科事典をインターネット上で作り上げようというプロジェクトが2001年1月15日に始まった。それが『ウィキペディア』である。コンテンツやウェブページの編集や追加をウェブブラウザーから直接行うことのできるツール「Wiki」を使ったこのサイトは、大勢の人の知識を共有した”オープン・パブリッシング”を実現した。現在、英語で12万件、それ以外の言語で7万5000件もの記事が集められ、巨大なプロジェクトとなっている。
同サイトには、他者とのコラボレーションのコツが書かれている。「『どうしてこのページやあのページは文章が推敲されていないんだ?』などと憤慨したり、心配したりすることもありません。驚くべきことに、問題はやがて解消されていくのです。誰かがつまらない記事や、ユーモアだけの項目、切れ端の記事、あきらかに無意味な記事を書いていても気にする必要はありません」
なぜなのだろうか?それは、改良することに集中していると、質の高い記事が増え、無意味な記事は自然淘汰されるからだ。ただし、自分が書いた記事が大きく修正される場合もありうるので、それに対しては恨みを持たないこと。
なお、ウィキペディアの姉妹サイトとして、オープンソース辞書プロジェクトの『ウィクショナリー』(http://wiktionary.org)もある。
1人のプログラマーから始まったフリーソフトウェア運動は、名称を変えたり、ソフトウェアに留まらない多様な分野へと発展し、世界中に無数のコミュニティとして広がりを見せている。これらの動きに1つ大きな共通点があるとすれば、他者と協力しあうことで自分も幸せを感じるというコミュニティ意識ではないだろうか。独占による一人勝ちから共生のモデルへと、社会は少しずつ動いている。ソフトウェアは単なる技術ではなく、人々に自由を与え、コミュニティを形成し、政治や社会情勢にも大きな影響を与えるナレッジなのだ。一人勝ちから共生のモデルへ、世界中でフリーソフトウェア運動によるナレッジの共有コミュニティが広まることを期待したい。









