September 21, 2001

「Plug.in '98」レポート

音楽業界はデジタル配信の方向へ

文:長野弘子

 インターネット業界と音楽業界を結びつける会議「Plug.in」が、ニューヨークで7月15-16日に開催された。市場調査会社のJupiter Communications主催による同会議では、N2KやSonicNet、またLiquid Audioやa2b musicなどの各社がブース展示やパネルディスカッションを行い、デジタル配信を含むさまざまなインターネット新技術を紹介した。

オンライン販売をめぐる激しい議論
 初日に行われたオンライン販売に関するパネルディスカッションでは、CDNOWやN2K、またPolygramを代表するパネラにより激しい議論が繰り広げられた。CDNOWのJason Olim社長はニッチ市場向けコンテンツの重要性を強調し、N2KのLarry Rosen会長兼CEOは「オンライン販売企業がレコード会社と同様の役割を果たすだろう」と語った。最終的に、オンライン販売はコンテンツとコマースが合体した一体型コミュニティを創出し、音楽業界全体を変えることになるという点で全員意見が一致した。

ストリーミングメディアの将来
 また、RealNetworksのRobert Glaser会長兼CEOによる基調講演では、ストリーミングメディアに関する展望が語られた。同氏は、グローバルでカスタマイズ可能、またチャンネルキャパシティが無限大にあるインターネットは非常に強力なツールであり、デジタル配信は音楽業界の必然的な流れであると語った。これを実現するためには高帯域、暗号化、電子透かし技術、パーソナル使用とIP権利のバランスの確立が必要であり、ブロードキャストの質と信頼性を高めるコンテンツ配信モデルの新たな標準策定が急務であると主張した。

優れたLiquid Audioシステム
 会場でとくに人気のあったブースは、CDの製造および流通コストを大幅に削減し、ユーザーの選択肢を大幅に広げるデジタル配信技術を開発しているLiquid Audioだった。同社のマスター/エンコーディングツール「Liquifier」は、音楽データを暗号化し認証ユーザーしか音楽を聴くことができないようにし、電子透かし技術により音源をたどることを可能にするシステムである。

音楽業界は転換期のまっただ中
 Jupiterでは120億ドル市場といわれる音楽市場のうち、5年以内に3000万ドルがデジタル配信になると予測しており、技術面や知的所有権の問題が解決されれば同数字はさらに高くなることが見込まれている。音楽業界の流れはデジタル配信へと進んでいるものの、標準策定や帯域幅などの問題により、デジタル配信の一般普及にはまだ時間がかかるだろう。音楽業界は現在、大幅な流通パラダイムの移行期に差しかかっている。(98/7/17)

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September 10, 2001

秋期Internet World '97レポート

Oracle基調講演、気になるのはNCよりも株価?

文:長野弘子

 インターネットの最新技術を競うエキスポ、秋期Internet WorldがNew Yorkで12月8日から12日まで開催された。最近、インターネットに関連したイベントが全米各地で開催されているが、600社以上の参加企業を集めた同イベントはなかでも最大規模のものとなった。

 12月10日には、Oracle(Redwood Shores, Calif.)のLarry Ellison CEOが基調講演を行い、ネットワーク・コンピュータ(NC)についての展望を語った。同氏は、第1世代コンピュータのメインフレーム、第2世代のクライアント/サーバを経て、第3世代はNCの時代になるという得意のNC論を披露した。

 NCとは、アプリケーションやデータをサーバに置けば端末側にそれらを置かなくとも動作する低コスト端末で、企業のネットワーク管理コストを大幅に削減する新アーキテクチャとして注目を集めている。

 同氏は、NCは第1世代と第2世代の長所、たとえばメインフレームのスケーラビリティ、またクライアント/サーバの柔軟性を兼ね備え、しかもプラットフォームに依存しないJavaベースのオープン・アーキテクチャだと語った。データベース開発企業の同社は、Network Computer, Inc.を子会社に抱え、NC開発に注力している。

 しかし、会場を満杯にした観客の関心は、NCよりもEllison氏がたった1日で失った20億ドルに集中していたようだ。同社は前日の9日、予測を下回る四半期決算を発表し、同社株を30%暴落させた。ウォール街を驚愕の淵に陥れたこの事件に対して、Ellison氏は「株式市場でこれだけの金額を損失したのだから、NCでは運が回ってくるだろう」と語り、観客を沸かせた。

 ウォール街のアナリストには、同社のNC戦略が主力事業を弱体化させると批判するものもいるが、同社はデータベース企業からソリューション企業へと移行し、低コストNCと高価値ビジネスの双方を提供すると反論している。同社は10日、NC戦略を推進する新製品「Application Server 4.0」、「Internet Commerce Server 1.1」、「Payment Server 1.0」、Java対応のデータベースとなる「Lite 3.0」などを発表した。同社は、これらの新製品が売上増加のきっかけになることを期待している。しかし、その実現のためには既存顧客のNCへの速やかな移行、さらに新規顧客の開拓が必要となるだろう。(12/11/97)

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September 03, 2001

インターネット通信の高速化を実現するボンディング技術

文:長野弘子

 インターネットの通信速度を高速化する努力が行われるなか、最近の傾向として、通常のアナログ電話回線2本をまとめて高速通信を実現するボンディング技術の導入があげられる。

 同技術を使った製品は、今年になって各社から発表されており、4月にはRamp Networkが3本の電話回線をまとめることができるルータ製品「M3」を、今月にはDiamond Multimediaが同様な技術を発表している。また今月初旬には、3Comが同技術を使用して最大400Kbpsを達成するルータ製品「OfficeConnect Remote Dual AnalogRouter」(希望小売価格745ドル)を発売した。

 こうした製品は、T1回線を導入する余裕はないが通常のモデムでは遅すぎるという不満を持つSOHO市場をターゲットにしている。しかし、これらの製品を使用した場合、現時点ではISPサービス料金がどの程度のものになるのかまだ未定である。同料金が通常の1回線サービス料金と同じ値段になる可能性もあるが、2回線分の料金を払わなければならなくなる可能性も出てくる。

 このほかの問題点として、通信技術の互換性の問題があげられる。3Comは仮想的に複数リンクをひとつのリンクとみなして帯域幅の広い通信を実現する「Multilink PPP」に準拠しているが、RampやDiamondともに独自技術を使っているため、ISP側の機器との互換性に欠ける場合もありうる。

 また、ボンディング技術を採用したデュアル・アナログモデム製品の発表も相次いでおり、今月初めにはイスラエル企業のSmartLinkが、最高112Kbpsでデータ/音声を転送するモデム「MODIO112X」を発表した。Boca ResearchもRamp Networksの技術を採用し、300ドル前後のモデムを来月発売する予定である。

 ただし、Bocaの製品はISPに2つのアカウントを持つ必要が出てくる。同社では現在、デュアル・アナログモデム・サービスに特別料金を設定するようISP数社に働きかけているが、具体的なISP名は明らかにされていない。今後、ISPとの取り決めが、これらの高速通信を実現するモデムおよびルータ技術の鍵を握ることになりそうだ。(11/14/97)

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September 02, 2001

JavaをめぐるSunとMicrosoftの争いが法廷に

文:長野弘子

 次世代言語、Java(ジャバ)をめぐるSun MicrosystemsとMicrosoftの攻防がついに訴訟問題にまで発展した。10月7日、SunはMicrosoftのウェブブラウザ、Internet Exploror 4.0(IE 4.0)と同社ソフトウエア開発キットのJava実装がプラットフォーム間の互換性に欠けるという理由で、同社を契約違反で訴えた。

 Microsoft打倒を掲げる毒舌で有名なSun最高経営責任者、Scott McNealy氏はこの訴訟に対して「これは純粋な法的問題であり、我が社の主義主張とは一切関係のないものだ。我が社は15年間も法的手段を使わず事業を行ってきた輝かしい実績を持つが、今回ばかりはやむを得なかった」と述べている。一方のMicrosoft側では、この訴訟は法的問題ではなくPR的なもので、同社が契約内容を完全に守っていることが次期明らかになるだろうと主張している。

 この訴訟は予想外の突然の事件で業界を揺るがす大事態となったが、両社の交わしたJava契約の内容を把握できなかったため、業界関係者はどちらの主張が正しいかが判断できずにとまどっていた。こうした事態から10月16日、両社は1996年に交わされた同契約をそれぞれのウェブサイトでに公開している。

 Sunサイト (http://java.sun.com/announcement/) では、IE 4.0のJava実装は現在策定中のJava規格にしたがっておらず、Sunの「一度書けばどこでも走る(Write Once、Run Anywhere)」Javaクロスプラットフォーム環境をIE 4.0が破壊していると主張している。Sunはまた、この契約違反に関して3500万ドルの損害賠償を求めている。

 これに対して、Microsoftサイト (http://www.microsoft.com/corpinfo/) では一貫して自社の潔白を主張している。同社は契約内容とともに、質疑応答やSunの主張に反駁する顧客宛て文書などを掲載している。Microsoftの内部情報によると、Sunの訴えは単なるMicrosoftへのイメージ低下をねらったもので、訴訟はMicrosoftの圧勝になるだろう予想している。しかし、やはり同訴訟の影響は大きく、同社では特別会議を毎日のように開いて対策協議を続けているという。

 Javaの生みの親であるSunは、Java環境が次世代インターネット環境でのオープン・プラットフォームになることを目指して「100%純正Java」マシンの普及に躍起になっている。これに対してMicrosoftでは、同社のWindowsこそがディファクト・スタンダードであるという構想のもとに、Windows環境だけでJavaベースのアプリケーションも動作すればいいという考えを持っている。今回の訴訟は、こうした両社の思惑の食い違いが表面化したものだ。Microsoftの方針は、インターネット分野でもWindows環境の独占を図ろうとするもので、この動きは市場競争をはばむものとなり実質的に同分野でもMicrosoftの独占状態になる危険性も考えられる。(10/10/97)

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September 01, 2001

Javaエキスポの注目株は?

Javigatorに大規模ブースのMicrosoft

文:長野弘子

 オープン・プログラミング言語として期待されるJavaのエキスポ、Java Internet Business Expo (JIBE) がNew Yorkで8月26日から28日まで開催された。Javaエキスポとしては初の一般ユーザー向けとなった同エキスポで、とくに話題を集めたのはNetscape Communicationsのブラウザ、Navigatorの100%純正Javaバージョン「Javigator」だった。

 エキスポ初日、Netscapeは、Javaの生みの親であるSun Microsystemsと協力してJavigatorを開発することを発表した。またJavaSoftは、Netscapeの「Java Bean」をJavaアプリケーション用の標準HTMLレンダリング・エンジンにすることも発表している。これにより、NetscapeはHTML環境での優位な立場を維持することになる。

 Microsoftのブラウザ「Internet Explorer」の登場によりブラウザ市場でのシェアが押され気味となったNetscapeでは、JavigatorをSunのネットワーク・コンピュータ(NC)の「JavaStation」で走らせることにより将来的なシェアの確保を狙っている。Javigatorは、JavaStationだけでなく標準Javaバーチャル・マシン搭載プラットフォームならばどこでも走る。

 Lotus DevelopmentもまたNC環境をターゲットとし、同社の純正Javaソフト作成アプレット「Kona Java」とJavigatorを統合させる計画を立てている。

 Javaベースの製品開発は各社ともにかなり進んでおり、こうした市場動向から、Javaと競合するActiveXを提唱しているMicrosoftも同エキスポに参加せざるをえなくなった。3日目の基調講演でNetscapeのJim Barksdale最高経営責任者(CEO)は、ActiveXベースのウェブサイトはJavaと比較して圧倒的に少ないと語っている。今回初めてJavaエキスポに公式参加した同社では、今年の5月にSun主催の「JavaOne」が開催されたとき、同会場の道をはさんだ反対側のビルでディベロッパー会議を行うという苦肉の策に出た。

 しかし、MicrosoftではあくまでSunの「Java Foundation Classes」 (JFC) に対抗して、自社開発のJavaクラス「Application Foundation Classes」(AFC)を提唱している。エキスポ会場でもMicrosoftは大規模ブースを出展して、AFCロゴの入ったTシャツを大量に配り多数の人を集めていた。

 一方、初日の基調講演で「Java指輪」を披露し注目を集めたSunのScott McNealy最高経営責任者(CEO)は「fences(かきね)のない世界にGates(門)はいらない」とジョークを飛ばし、オープン・プラットフォームであるJava環境を再び閉じようとするMicrosoft戦略を皮肉った。(9/14/97)

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